ACE COLLECTION、コロナ禍で導き出した“我が道を行く”という選択 新曲「GO MY WAY」に表れたバンドの進む未来

ACE COLLECTION「GO MY WAY」に表れた未来

 〈逆境は全て/強さに変わっていた/涙もいつしか/光へと変わりゆく〉――ブライトでスケールの大きなメロディに乗って、たつや◎(Vo)の伸びやかなボーカルが響く。ACE COLLECTIONが11月18日にリリースした新曲「GO MY WAY」は、新型コロナウイルスの影響で大きな困難に直面した2020年の世界で、すべてを乗り越えてひたすらに前進しようとするバンドの覚悟が普遍的なメッセージとなって広がっていくような、感動的なアッパーチューンだ。力強いギターリフとリズム、そして自らを奮い立たせるような歌がガツンと胸に響く。

 2017年12月の結成以降、ライブハウスでひたすらライブを重ねて地力を磨きファンベースを築いていくという、いわゆるロックバンドの正攻法をあえて選ばず、共同生活をしながらYouTubeにひたすらカバー動画を投稿し続けるというやり方でバンドの素地を作り上げてきたACE COLLECTION。「動画でバズって人気を得る」という側だけを見ればきわめて今っぽいし、言葉を選ばずにいえばどこかふわっとしていて実体がないように思う人もいるかもしれないが、毎日違う曲を演奏し、それを動画にまとめ、ネット上に発表していくというプロセスをこなし続けるというのがめちゃくちゃ大変なことだというのは少し想像してみればわかる。

 彼らはそうやって自分たちのスキルの幅を増やし、たくさんの引き出しを開け、バンドとしての力を蓄えてきた。その集大成として、そしてさらなる未来に向けた第一歩として、満を持してメジャーデビューミニアルバム『L.O.V.E.』をリリースしたのは、4月8日のことだった。そう、東京を含む7都府県に緊急事態宣言が発令され、いよいよ世の中が一変したまさにその日だ。本来であれば祝福に包まれるはずだった記念すべきデビューは、日本中を覆った自粛ムードに水を差される形となってしまった。

 そのデビュー作をひっさげて行うはずだった全国5カ所のZeppツアーも中止。もちろん困難を被ったのは彼らだけではないが、とてつもない悔しさだったはずである。根っこがバンド小僧である4人なので、ファンの前で音をぶちまけることのできないフラストレーションは相当だったろう。

 今回の「GO MY WAY」リリースにあたってたつや◎が寄せたセルフライナーノーツには、その苦悩が生々しく刻まれている(以下引用はそのセルフライナーノーツより)。「今の僕の足元を見ると、何一つうまくいっていない。僕は何を生きがいに生きているのか、人生がなんなのか。それさえわからなくなっていました」。必死の努力を重ね、しっかりと実績を築いて迎えたメジャーデビュー。そこには順風満帆の未来が広がっているはずだった。それを突如奪われたように感じたとしても、少しも不思議はない。

 だがそこで、彼は腐らなかった。活動がままならない自粛期間のなかで、状況と向き合い、自身の心の内を見つめ、「何をしたいのか。何故バンドにこだわるのか。何を歌いたいのか」と自問自答を繰り返した。その先で生まれてきたのが「GO MY WAY」という力強い楽曲だった。「我が道を行く」――その言葉に込めた思いを、たつや◎はこう綴っている。「この言葉を上辺だけで貫くのは自分勝手だなと思います。"これが俺のやり方だから"なんて都合よく使えたりもします。でも、そうではなくて、この言葉はひたむきに貫くものなんです。責任を持って貫くものなんです」。やりたいようにやるさという自暴自棄でもわがままでもなく、自分で選んだ道を自分自身の足で突き進むんだという決意。彼にこの歌詞を書かせたのはそれだ。

 「失敗するなら、自分のせいにできなきゃダメなんです。失敗を自分のせいにできる選択を手前でとらなきゃダメなんです」――そんな悲壮な決意を、ACE COLLECTIONはキラキラと輝くロックサウンドとともにぶち上げる。〈流星群のように/試練が次から次へと/胸をぶっ刺してくる〉とこの困難を真正面から見据え、〈最低だよ/そんな生き方してちゃ/『僕は誰かの代わりなんかじゃない』〉と自分のケツを叩き、〈努力の先に自信を持って/覚悟の翼を今広げよう〉と言い聞かせる。

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