『おジャ魔女どれみ』と『魔女見習いをさがして』、声優達のキャスティングに見る2作の共通点とは? 20年続くシリーズの信条
現在公開中の映画『魔女見習いをさがして』だが、雑誌『Seventeen』モデルを経て現在は女優として活躍する森川葵、元SKE48のメンバーで、女優のほか小説家としての顔を持つ松井玲奈、そしてももいろクローバーZのメンバーで現役アイドルである百田夏菜子というキャスティングも話題だ。同作の原点となったアニメ『おジャ魔女どれみ』シリーズも、千葉千恵巳、秋谷智子、松岡由貴、宍戸留美、宮原永海と主要キャストの面々が、元々はアイドルや劇団員、モデル出身者が声優を務めており、当時話題となった。異なるバックボーンを持ったタレントを、声優としてキャスティングすることで生まれる魔法が、20年を経た現在も受け継がれている。
多彩なバックボーンを持った若手が力を合わせた作品
『おジャ魔女どれみ』シリーズは、1999年から2003年まで放送された魔法少女アニメで、春風どれみ・藤原はづき・妹尾あいこらが、一人前の魔女になるための奮闘を描いたジュブナイル作品だ。このアニメには、実に多彩な経歴を持った人物が声優として起用されていた。
例えば主人公の春風どれみを演じた千葉千恵巳は、ゲーム『オーロラクエスト おたくの星座 IN ANOTHER WORLD』から派生した、アイドルユニット“オーロラ五人娘”のメンバーとして活動したほか、舞台などでも活躍していた。物語の途中からどれみ達の仲間入りを果たす、瀬川おんぷを演じた宍戸留美もまた、テクノ系アイドルとして90年代にコアなファンを獲得した。
また、藤原はづきを演じた秋谷智子、妹尾あいこを演じた松岡由貴、『も〜っと!おジャ魔女どれみ』から登場した飛鳥ももこを演じた宮原永海も、それ以前にはタレント活動やCM出演などの経験を持つ。それぞれ同作での経験を糧にその後も声優として活躍し、千葉は『ローゼンメイデン』の雪華綺晶、『キラキラ☆プリキュアアラモード』のビブリーなど。松岡は『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズの鶴屋さん、『D.C. 〜ダ・カーポ〜』シリーズの水越眞子などを演じて知られる。
多彩なバックボーンを持った若手が集まり、声優として一つの作品に向かって力を合わせた。それは『おジャ魔女どれみ』の物語においても、通じる部分がある。どれみとはづきは幼なじみだったが、その後に転入生や帰国子女などが次々とMAHO堂に集まり、力を合わせて困難に立ち向かう姿が感動を呼んだ。その構図は、声優たちのリアルともどこか重なるものがある。声優のリアルな立場や心情が作品に作用した、それも『おジャ魔女どれみ』シリーズのヒットの一因であるだろう。