ソニンと後藤真希、20周年迎えて放つ輝き “つんく♂ファミリー”の隆盛支えた両者の存在感

 だがそこから現在に至るまで、2人の道のりは決して平たんだったわけではない。ソニンは自分のやるべきことを懸命に模索し、舞台の勉強のために芸能活動を休止して長期海外留学をした時期があった。また後藤真希もハロー!プロジェクト卒業後ソロ歌手として活動を続けたが、その後やはり長期の芸能活動休止期間があった。

 そしてソニンは、いまやミュージカルを中心に活躍、大きな演劇賞を受賞するほどの存在になった。テレビで紹介されていたが、舞台のために健康管理を徹底する生真面目な姿はとても彼女らしい。一方後藤真希は、芸能界に復帰後結婚・出産を経て、現在はアパレルのプロデュース業のかたわら今年4月にはYouTubeチャンネル「ゴマキのギルド」を開設するなど比較的マイペースな活動ぶりだ。だが先述の『テレ東音楽祭』のパフォーマンスのように決めるところは決める姿は、やはりここ一番のパワーを感じさせる。

 かつて著書のなかで、つんく♂はこう言っていた。「ひとつ何かを極めた人間っていうのは、「やればできる」とは思っていても、結果を出すにはものすごい努力が必要だってことも肌でわかってるから、覚悟は人一倍強い。それは、その後なにをやるにしても大きな強みになる」(つんく『LOVE論』)。

 ソニンと後藤真希。タイプは異なるが、共通するのは苦労や困難があったとしてもそこから再び立ち上がる生命力、その根底にある「覚悟の強さ」なのだろう。同時にそこに、“つんく♂ファミリー”がいまだに放つ存在感の源もあるに違いない。

■太田省一
1960年生まれ。社会学者。テレビとその周辺(アイドル、お笑いなど)に関することが現在の主な執筆テーマ。著書に『SMAPと平成ニッポン 不安の時代のエンターテインメント』(光文社新書)、『ジャニーズの正体 エンターテインメントの戦後史』(双葉社)、『木村拓哉という生き方』(青弓社)、『中居正広という生き方』(青弓社)、『社会は笑う・増補版』(青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』『アイドル進化論』(以上、筑摩書房)。WEBRONZAにて「ネット動画の風景」を連載中。

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