後藤真希、『テレ東音楽祭2020秋』出演で“ゴマキ再評価”の熱高まるか 新たなアイドル像を築いたモー娘。時代振り返る

モーニング娘。『LOVEマシーン』

 後藤真希が9月30日、歌番組『テレ東音楽祭2020秋』(テレビ東京系)に出演する。自身のInstagramで「もう何年ぶり? ってぐらいのあの曲を歌わせていただきます!」と、懐かしの楽曲を披露することを予告。さらにAKB48とのコラボで「会いたかった」、「フライングゲット」、「ヘビーローテーション」のスペシャルヒット曲メドレーを歌うことも発表された。

 後藤の生パフォーマンスは2018年6月放送『テレ東音楽祭2018』以来とあって、SNSでもトレンド入りは確実。番組出演を機に「ゴマキ再評価」の熱も高まりそうだ。

 そこで今回は、アイドル時代の後藤真希の魅力をあらためて振り返っていきたい。

リベンジ、雑草魂という流行語とモー娘。のシンクロ

 後藤真希について触れるには、彼女の原点であるモーニング娘。の歩みもおさらいしなければならない。

 1997年9月7日、テレビ番組『ASAYAN』で、ある企画が発表された。同番組内で進行していた「シャ乱Q女性ロックボーカリストオーディション」の最終選考で落選した中澤裕子、石黒彩、飯田圭織、安倍なつみ、福田明日香を集め、アイドルグループ結成の話が持ち上がったのだ。メジャーデビューの条件は、5日間で5万のCDを売り切ること。翌週、同番組内で「モーニング娘。」というユニット名が発表された。

 やがて「モー娘。」の愛称で国民的アイドルとなる彼女たちは、このとき、インディーズシングル『愛の種』を引っさげて「5日間5万枚」のチャレンジに乗り出し、4日目で目標をクリア。つんく♂(当時の表記は「つんく」)プロデュースのもと、デビューを勝ち取った。

 その後、アイドルのデビュー曲とは思えない美しいハーモニーと清潔感あふれるMVが印象的な「モーニングコーヒー」(1998年)を表題曲にした1stシングルのリリース、そして2期メンバー(保田圭、矢口真里、市井紗耶香)の加入をはさみ、前作とは一転ギラついていて中毒性抜群の「サマーナイトタウン」(1998年)で人気拡大。第40回レコード大賞で最優秀新人賞を受賞した「抱いてHOLD ON ME!」で、J-POPシーンにおいて目を背けることができない存在となった。

 だが、1999年4月18日にグループの核的存在だった福田明日香が卒業。さらに同年には、『ASAYAN』から飛び出した小室哲哉プロデュースの鈴木亜美が台頭。モー娘。の6枚目シングル『ふるさと』は、オリコンチャートで、同日発売の鈴木のデビュー曲『BE TOGETHER』に敗れた。

 テレビ番組から発信されたアイドルグループという形で勢いがついたが、新星が次々と現れるJ-POPシーンのめまぐるしさのなか、1年を乗り切るのはやはり難しいもの。そんなグループの起爆剤となったのが、同年8月に加入した後藤真希だ。後述するが、この13歳はモー娘。のステージを大きく引き上げた。

 ちなみに1999年といえば、プロ野球入りした新人・松坂大輔投手が敗れた相手に対して口にした「リベンジ」と、一浪を経て入学した大学野球でようやく注目されてプロ入りを果たした苦労人・上原浩治投手の言葉「雑草魂」が新語・流行語大賞に輝いた。悔しさや敗北の経験から生まれたこの2つのワードは、モー娘。の成り立ちや展開と重なる点も多く、当時の下克上的な時代の流れもグループに合っていたのかもしれない。

石橋貴明が「即戦力」と評価した後藤真希の雰囲気

 後藤真希が鮮烈だった理由は、やはりそのルックスである。「好きな芸能人は安室奈美恵」と明かしていたが、見た目も安室を彷彿とさせるギャル風。後藤ファンで知られる指原莉乃や、ハロプロを題材としたコミックエッセイ『あの頃。 男子かしまし物語』(2014年)の著者・劔樹人もインタビューなどで「金髪が衝撃的だった」と語っているが、その派手な髪色だけでもモー娘。に新しい風を感じさせた。

モーニング娘。 『LOVEマシーン』 (MV)

 当時のモー娘。は金髪、茶髪は厳禁で、流行りの細眉、つけまつげもNG。マスカラも透明なものだけ許されていたという。後藤の自著『今の私は』(2018年)では、眉毛をほぼ剃り落として細眉を書いていた彼女の顔を見て、他のメンバーが「眉がない!」と驚いたエピソードが明かされている。

 モー娘。を躍進させた音楽番組『うたばん』(TBS系)の後藤初出演回(1999年9月9日)では、MCの石橋貴明(とんねるず)が、かつて読売ジャイアンツに在籍した助っ人外国人選手のクライド・ライトの名前を引き合いに出し、パッと見ただけで「即戦力」と評価した。数々の女性アイドルと共演をしてきた石橋にそこまで言わしめた後藤のムードは、やはり「新たなアイドル像」が漂っていたのだ。

 モー娘。は当時、『ASAYAN』でナインティナイン、『うたばん』で石橋貴明と中居正広、さらに『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)ではタモリ、『HEY!HEY!HEY!』(フジテレビ系)ではダウンタウンといったツワモノたちと交わったことで、トーク力や対応力は新人顔負けだった。それまで培われたグループの良さを生かしながら、後藤はモー娘。を“味変”させた。

 著書『今の私は』でも、「何も知らない13歳が入ったことで、やがてみんなの意識も少しずつ変わっていった。CDジャケットの写真を見ると、その変化がわかるのは面白い」と語っている。後藤の加入が効力となり、各メンバーは個性をより表立たせていくようになる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる