『Nizi Project』『I-LAND』……アジアから世界賑わすオーディション番組 SKY-HI『THE FIRST』にも期待
最後はちょっと変わり種になるが、ラップサバイバル番組『SHOW ME THE MONEY』を紹介したい。2012年より毎年下半期に放送されている長寿番組で、この10月にシーズン9がスタートしたばかり。毎年入れ替わる審査員は、全員が現役の人気ラッパーやヒップホッププロデューサー。そのためビジネス的な視点というより、純粋にアーティスト目線での「かっこよさ」「うまさ」が評価されていく。
ラップバトルというと1対1のフリースタイルバトルを想像する人も多いかもしれないが、この番組では作詞能力やラップスキルをチェックする個人審査から始まり、チームワークによる楽曲制作、ソロステージ制作、サイファー対決、チーム戦のディスバトルなど様々なミッションで競い合う。そのため勝ち残るにはラップがうまいだけでなく、ステージ上で見せるカリスマ性やチームワークにおける協調性までもが必要になってくるのだ。
『SHOW ME THE MONEY』ではプロアマ問わず全員が同じ土俵でバトルする。ラップを始めて間もない小・中学生、人気アイドルグループのメンバー、トレンドの先端にいるスターラッパー、キャリア20年超えのOGラッパーなど参加者の顔ぶれは実に多様だ。バトルの内容もアーティシズムとバラエティ性の両方を兼ね揃えているため、ヒップホップファンに限らない幅広い視聴者層から人気を集め、結果として同番組は韓国におけるヒップホップの大衆化に大きく貢献した。
以上、系統の異なるオーディション番組を3つ振り返ってみたが、SKY-HIが主催する『THE FIRST』はどうだろうか。BMSG自体がこれまでの日本の音楽業界の常識を打ち破るために設立されたレーベルであることを考えると、これまでのオーディション番組とはひと味もふた味も違ったものとなるだろう。オーディション番組大国・韓国の成功事例を踏まえてどのような盛り上がりを見せてくれるのか、非常に楽しみである。
『THE FIRST』への参加は11月30日まで募集しているとのこと。ボーイズグループのメンバーとしてSKY-HIと共に新たな時代を築きたい者は、ぜひ応募してみてほしい。
■鳥居咲子
韓国ヒップホップ・キュレーター。ライブ主催、記事執筆、メディア出演、楽曲リリースのコーディネートなど韓国ヒップホップにおいて多方面に活躍中。著書に『ヒップホップコリア』。 運営サイト「BLOOMINT MUSIC」/ Twitter