和楽器バンド『TOKYO SINGING』完全再現ライブに込めた未来への願い ファンと心を一つにしたツアー初日公演レポ

和楽器バンドがライブに込めた未来への願い

 MCでは鈴華が、「前回の横浜アリーナ公演に引き続き、今日もたくさんの制限の中、ルールを守っていただきながらの参戦に、バンドメンバーそしてスタッフ一同、心から感謝いたします」と、8月15日、16日に開催された『和楽器バンド 真夏の大新年会 2020 〜天球の架け橋〜』のことに触れながら挨拶。

写真=上溝恭⾹ / Kyoka Uemizo
写真=上溝恭⾹ / Kyoka Uemizo

 「今日、来ると決断してくださった皆様は、いろんな思いや葛藤があったと思います。前回の公演では私たちもたくさんの不安があるとお話しさせていただきましたが、その時に皆さんからたくさんのパワーやメッセージ、配信越しでの応援のおかげで『未来に歩む』という力をもらいました。今日は、ただただ楽しみな気持ちでスタートを切ることが出来ましたし、楽しい1日を作っていきたいと思います!」と、今日にかける意気込みを熱く語ると、オーディエンスからは割れんばかりの拍手が沸き起こった。

 「月下美人」では、青い照明がスモークを照らしステージ全体が幻想的な空間に。スクリーンには大きな月が映し出され、その下で和傘を持った鈴華がオリエンタルなメロディをしっとりと歌い上げた。続く「Sakura Rising with Amy Lee of EVANESCENCE」では、着物を着たエイミーが歌う、撮り下ろしの映像とバンドがコラボレーション。エイミーと鈴華によるバーチャルな掛け合いボーカルと、バンドによる生のアンサンブルが融合した世界観に酔いしれた。さらに、アルバムの中でも最もアップテンポな楽曲「日輪」では、飛び交うレーザーの中、まるで機関銃のように乱れ打つ和太鼓&ドラムの高速プレイと哀愁漂うメロディが入り混じり、血が湧き立つような高揚感に包まれる。そして、〈豹は死して皮を留む 豈偶然ならんや〉と歌う、鈴華の詩吟も鬼気迫るものがあった。

写真=上溝恭⾹ / Kyoka Uemizo

 本編最後は山葵が作詞作曲を手掛けた「Singin' for...」。シンガロングするパートをふんだんに盛り込んだアンセムだ。

 「本当ならば、みんなで大きな声を出し合って歌いながら幕を閉じたかった、そんな思いを込めて出来上がった曲です。今日は、みんなの気持ちがたくさんステージまで届いているので、声は出せないかもしれないけど、思い切り拳を天に突き上げて、一つになりましょう」と鈴華が呼びかけ、オーディエンスもそれに応える感動的な瞬間が訪れた。そして、アンコール最後は彼らの代表曲「千本桜」。バックスクリーンには桜の映像が次々と映し出され、そんな中メンバーたちはステージ狭しと動き回りながら思いの丈をプレイに込めていた。

「この時間が、ずっと続けられますように」

 最後にそう言い残してステージを後にした鈴華。未だコロナ禍の予断が許さぬ状況の中、「カルチャーを絶やさないように」との思いでライブ開催を決めた、和楽器バンドのメンバーたちの想いが全てここに込められている気がした。私たちオーディエンスも、このライブが次の彼らの(そして、彼ら以外の)ライブにもつながるように、感染防止対策をしっかり守っていかなければならない。そう改めて強く思わせてくれた。

 なお、本ツアーは11月28日の愛知県・日本ガイシホールまで3都市4公演を予定している。さらにこの日、日本武道館での『大新年会2021』が来年1月3日、4日と開催されることが発表された。

和楽器バンド 公式サイト

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