JABBA DA FOOTBALL CLUB JUQIに聞く、現状への危機感とソロ活動に向かうまで 「“何もしない”っていうのは最悪」

JABBA DA FOOTBALL CLUB JUQI、ソロ活動に向かうまで

(ソロは)自分のオリジナリティを探すという作業でもありました

ーーソロの初作となる「Bye again」は7月22日にリリースされましたが、この楽曲の制作はどのように進められましたか?

Bye again - JUQI

JUQI:ビートメーカーのSUIさんと僕、それからJABBAのノルオブやスタッフと、JUQIのソロはどういった形で打ち出すべきか、話し合いをしたんですよね。そこで出たアイデアがストーリーテリングで。映画を元にして、それをベースに作り上げていくっていうのはどうだろうっていう話になって。ただ、当然ですけど、内容をなぞっただけの曲じゃ意味がないし、単調な曲にもしたくなかったんで、もっと自分の個人的な感覚や、自分らしいノリをしっかりと作品に込めようって。だから、フロウやグルーヴの部分でどう変化をつけていくのかは、腐心した部分ですね。

ーーグループなら自然に変化は生まれるけど、ソロだとそこに自覚的にならないと、どうしても一本調子になってしまいますね。

JUQI:そうですね。だからこそすごく考えたし、自分の好きなフロウやアプローチでしっかり一本筋を通そうとしました。

ーーロングライムを踏んだりする部分でもJUQIさんらしさは出ていますね。

JUQI:そこは絶対に外せない部分でしたね。それをやらないと自分の好きな音楽じゃなくなってしまうと思うんですよ。音楽のジャンル分けは人が決めるところだと思うので、そこに対しては意識はしなかったですけど、自分の好きな音楽はこういう形やフォーマットがあるんだっていうことは、作品に落とし込みたかった。だからライミングしながら筋の通った話をするのは外せない部分でしたね。他にも〈忘れたリング〉と〈どうすればいい〉っていう歌詞も、スタッフからは変えたほうが良いかも、って意見がでたんですよね。でも、そこは響きとして重要だったから変えたくないっていう自分のエゴは通させてもらって。それが出来ないとアーティストとして面白くなくなってしまうと思ったし、自分のオリジナリティを探すという作業でもありましたね。

ーーこの曲のMVはアニメーションで制作されていますね。それはいわゆるローファイヒップホップのような流れとの親和性も感じたのですが。

JUQI:コロナ禍っていう状況が影響してるのは間違いないですね。やっぱり時期的にも撮影が難しかったので。それに、切ない物語をストーリーテリングしてた曲に、自分が登場するのもまたちょっと違うかなって。安いカラオケ映像みたいになっちゃいそうで(笑)。それでアニメがMVの中心になりました。

ーー新曲となる「Miss Untouchable」ですが、このテーマはどのように?

Miss Untouchable - JUQI

JUQI:SUIさんから頂いたビートに合わせてサビを考えているときに、「Miss Untouchable」っていうフレーズとメロディがバッと浮かんできたんですよね。そこからアンタッチャブルな女の子と翻弄される男、っていうイメージが繋がっていって、楽曲を広げていったんですよね。

ーー登場する男性はかなり女性に振り回されていますね。

JUQI:『女々しい』っていう言葉は基本的に男にしか使わない言葉だと思うんですけど、僕はどっちかというとそっちのタイプだと思うんですよね。でも、それが悪いっていう話じゃなくて、こんな人って他にもいるよね? という仲間探しみたいな気持ちで書いたんですよ。“あるある”だと思ってくれる人がいないかなって(笑)。確かに、古い価値観だったり、ラップ的なマッチョな価値観からすると、男らしくない内容だとは思うんですけど、それでも良くない? って。

ーーRHYMESTER「肉体関係 pt2 逆featuringCrazy Ken Band」の引用も印象的ですね。

JUQI:そういう遊びも入れたいなと思ったし、やっぱり男女やパートナー同士のいざこざっていうことを考ええると、真っ先に浮かんだのは「肉体関係 pt2」で。だから「Dさん、すみません、お借りします!」って(笑)。

ーー〈頼りになるのは月明かり〉からのライミングも固いですね。

JUQI:ストーリーテリングとしても成り立ってると思いますけど、同時に音楽の気持ちよさもちゃんと落とし込みたいと思ったんですよね。最悪、歌詞の意味は伝わらなくてもいいから、ラップの気持ちよさだったり、フロウの面白さみたいな部分が届いてくれればいいなって。

ーーそして「Bye again」のリミックスにはpinokoさんを迎えられています。

JUQI:1stヴァースは置いていかれた男性目線、2ndヴァースは置いていった女性目線で作りたかったんです。なのでせっかくだから実際に女性目線のリリックを、女性ラッパーに書いてほしいなと思って。それでラッパーを探すなかで、pinokoさんに出会ったんですよね。インタビューを読んだらNORIKIYOさんとかライミングの固いハードなラッパーもお好きだったので、ぴったりだなと思って。pinokoさんのリリックに出てくる〈呪い〉みたいなフレーズは自分の中からは出てこなかったと思うし、pinokoさんのカラーも込められた楽曲になったと思いますね。

ーー今までリリースされた曲はラブソングが中心ですが、あまり明るい形ではないですね。

JUQI:一緒に作ってる人の性格かなあ(笑)。

ーー人のせいにしてどうするんだ(笑)。

JUQI:あんまりそこは考えてなかったですね。いま作ってる曲はめちゃくちゃハッピーなラブソングだったりするので、現時点での表現になるんだと思います。でも、自分の性格的にはどっちかと言うと湿っぽかったり、湿気を帯びたような曲が好きなんで、その部分も反映されてるのかなと思いますね。それに、ソロとして登場するのに、いきなり明るいラブソングっていうのもまた違うのかなって。そういうタイプでもないと思うし。

ーーJABBAの「きみは最高」みたいな曲とのカウンターではない?

JUQI:意識はしてなかったけど、たしかに言われればそうですね。だから潜在的にはそう感じてたのかもしれない。あとJABBAで四人のおっさんが失恋ソング歌ってもしょうがないって部分はあるので(笑)、ソロだと表現できるのが、そういう悲しいラブソングだったのかもしれないですね。

ーー最後に、これからソロはどのような動きを考えていますか?

JUQI:お話したとおり、新曲も着々と作っているので、それを丁寧に形にしていければなって。作品を作ることは止めないと思うし、一歩ずつ進んでいければなと。あとメインとなるJABBAの動きも進んでいて、完全な新曲も作り始められる段階には入ってきているので、近いうちに新曲をお聴かせすることが出来るんじゃないかな。この半年ぐらいは本当にメンバー全員で会う機会がなかったんですけど、4人で会う機会も増えているんで、お待たせしてすみませんが、もうちょっとだけ待っててください! っていう感じですね。

「Miss Untouchable」
「Miss Untouchable」

■リリース情報
「Miss Untouchable」
2020年10月7日(水)配信
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