希帆&重盛さと美、“友達”対談 「TOKYO DRIFT FREESTYLE」挑戦の経緯からオリジナル楽曲リリースに至るまで

希帆&重盛さと美、“友達”対談

 TERIYAKI BOYZ®の「TOKYO DRIFT」をビートジャックする企画「TOKYO DRIFT FREESTYLE」に重盛さと美が挑戦した動画に、“友達”として客演していた希帆が、自身の誕生日である9月28日に3曲入りの配信シングル『uchiseiuchi』をリリースした。今回のシングルは重盛さと美が全面プロデュース。タイトル曲の「uchiseiuchi feat. 友達」は、希帆のオンボロの実家と貧乏暮らしを重盛がリリックにまとめ、希帆がラップしたナンバーで、重盛も”友達“として客演している。その他、彼氏が欲しいという希帆の切実な願いをテーマにしたラップ曲「K.A.R.E.S.H.I.H.O.S.H.I.I」も重盛が作詞作曲。3曲目には希帆が作詞作曲した「If」という失恋ナンバーが収録されている。今回は良き理解者であり“親友”同士であるという二人揃ってのインタビューが実現。「TOKYO DRIFT FREESTYLE」に挑戦した経緯から今回のシングル全曲の制作裏話まで赤裸々に語ってもらった。(猪又孝)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

「TOKYO DRIFT」でラップしてみたい気持ちがいちばんだった(重盛)

希帆&重盛さと美
希帆、重盛さと美

ーー「TOKYO DRIFT FRESTYLE」を作ろうと思ったきっかけから教えてください。

重盛:「TOKYO DRIFT FRESTYLE」が流行ったときに、「これ、希帆ちゃんがやったら面白いな」と思って。希帆ちゃんがやったらどんな感じの歌詞になるかな? と思って作ったんです。

希帆:コロナによる外出自粛期間中だったので、「とりあえず希帆ちゃんパートができたけん、これをいっぱい聴いて覚えろ」って言われてラップが入ったボイスメモが送られて来て。私はラップをそんなに聴いてきた人間じゃなかったので、それをずっと聞いて覚えました。

ーー最初は、希帆さん単独で作る試みだったんですね。

希帆:とりあえず面白いことを思いついたら私にいつもやらせるんです(笑)。仲良くて私のことを知ってるぶん、そのトラックに私がハマったんだと思う。

重盛:希帆ちゃんには何かしらでどんどん出ていって人気者になって欲しいし、人気者になる素質があると思っているので。表に出してないだけで、いつも家で変なことばっかやってるんです。それこそ「TOKYO DRIFT」みたいな動画を撮るのが大好きで。

希帆:そう、趣味としてもよくやっています。

重盛:で、希帆ちゃんに送ったあとに自分でも歌ってみたらめっちゃ良いのができて。じゃあ、二人でやったら面白いんじゃないかなって思ってあの動画ができました。

重盛さと美feat.友達 TOKYO DRIFT FREESTYLE🍜🔥

ーー外出自粛期間中はSNSでいろんなリレー企画が生まれましたが、その流れに便乗しよう、みたいな目論見もあったんですか?

重盛:いや、全然。「TOKYO DRIFT」だからやったんです。あのビートに乗っても怒られない期間が人生であのときだけだったので、これに乗らない手はない! と思って。「TOKYO DRIFT」でラップしてみたいっていう気持ちがいちばんでした。

ーーそもそも誰の動画投稿でこの企画を知ったんですか?

重盛:もともとファレル(・ウィリアムス)さんが大好きで、TERIYAKI BOYZ®のオリジナルもずっと聴いていて。そのビートを使ってRich Brianさんが上げた動画にすごい衝撃を受けたんです。そこから毎日のようにラッパーさんが上げていって。

ーー88risingの公式YouTubeからANARCHY、JP THE WAVY、Awichなどの動画がアップされましたね。

重盛:そのときはスゴすぎて、ただ聞けるのが楽しい! っていう感じで見てたんです。そしたら他のラッパーさんたちもどんどん上げ始めて、「これ、誰でも上げていいの?」って。じゃあ、私も参戦する! って感じでした。

ーー本稿執筆時点で1800万再生を突破と、この企画でトップの再生数を叩き出すほどバズりました。反響をどう受けとめていますか?

重盛:予想以上に誉めてくださる方が多くて、「やったー」って感じです。

希帆:まさかこんなに再生回数が行くと思ってなかったので、めちゃくちゃ嬉しいです。これきっかけでテレビのお仕事も、今回の曲のお話も来て。ここまで自分の人生で変化があると思ってなかったので、ただ単にびっくり。今、頭の中がずっとふわふわしてます。5月から地に足が付いてないです(笑)。

希帆&重盛さと美

ーーなんだか潮目が変わったぞ、と気付いたのはいつ頃ですか?

希帆:もんじゃ焼き屋さんでバイトしてるんですけど、お客さんに「YouTube見ました」って言われた瞬間、ビクッとしました。YouTubeの影響力ってすごいんだなって。ただ、数字はどこからかわからなくなりました。

重盛:だよね。100万回でウチら大騒ぎして、喜びのタコパしてたんで(笑)。

ーー今回のシングル制作プロジェクトは、「TOKYO DRIFT FREESTYLE」の盛り上がりを受けて始まったんですか?

希帆:もともとはさっちゃん(重盛)に曲を出す話が来たんですけど、さっちゃんが「希帆ちゃんと一緒じゃなきゃ嫌だ」と言ってくれたことがきっかけです。

重盛:二人でやってバズったのに私だけやるっていうのがわからなかったのと、私ひとりじゃ何にもできないので、希帆ちゃんも一緒がいいって言ったんです。人見知りなので、何か新しいことをやるときは希帆ちゃんがいた方が安心する。

コンプレックスを跳ね返した「uchiseiuchi feat. 友達」(希帆)

希帆
ーー今回の希帆さんのプロジェクトを重盛さんがプロデュースすることになった経緯は?

希帆:私のことをいちばん理解してくれているから、さっちゃんが曲もMVも写真も全部プロデュースすることになりました。だから、私は歌詞を作るための事情聴取を受けただけ(笑)。「ここはこういうふうに歌え」とかディレクションもさっちゃんがやってくれたんです。「希帆ちゃんのことはいちばんわかっとうけん、任せて」って言われました。

ーープロデューサーとして希帆さんのどんなところを引き出そうと考えましたか?

重盛:引き出すも何もネタの宝庫なので、それを丁寧にみんなに説明するっていう感じでした。

ーー1曲目「uchiseiuchi feat. 友達」は、明るくてポップなトラックですね。

重盛:このトラックはずっと気に入ってたんですけど、自分には明るすぎるなと思って。でも、このトラックだったら、希帆ちゃんのどれだけ暗い貧乏ネタも楽しく聞けるだろうなと思って候補に入れました。で、トラックを聴いてたら、勝手に「ウチ、セイウチ。ウチ、セイウチ」って希帆ちゃんが口ずさんでたので、そのまんま作っていこうと。

ーーそもそも「ウチ、セイウチ」って何ですか?

希帆:1年くらい前に一緒にプールに行ったんです。そのときにさっちゃんが自撮りしてた写真に私が映り込んでて。その姿がプールサイドで横たわってるセイウチみたいだったんです(笑)。私、顔がちっちゃくて体がデカいから、そこからファンの人にも「セイウチ」って呼ばれ始めて(笑)。

ーーリリックはどのように書いていったんですか?

重盛:実家が貧乏っていうのは知ってて、家の特徴も知ってたので、それを歌詞にしようと思ったんですけど、もっと具体的な、誰も真似できないようなリアル貧乏エピソードを歌詞に採り入れたくて。改めて事情聴取したら、もうホントにいろいろ出てきて、エピソード豊富な歌詞になりました。

ーー知らないエピソードもありましたか?

重盛:大体知ってたけど、バスタオル二枚で浴衣を作ってたっていうのは初めてです。今、この曲のMVを作ってるんですけど、そのシーンも最高。一緒に花火してるんですけど、私は普通の浴衣を着てて、希帆ちゃんはバスタオル二枚の再現浴衣(笑)。

ーー希帆さんのYouTubeチャンネルに、重盛さんによる実家訪問動画がアップされていますが、実家を見たときにいちばん衝撃を受けたのは?

重盛さと美の希帆のオンボロ実家訪問 屋根もない!床もない!鍵もない!衝撃のオンボロ実家を大公開!!

重盛:やっぱ屋根じゃないですか? 撮影してても雨が降ってきたら普通に濡れるんですよ。家の中にいて雨に濡れるっていうことが初めてだったから、一瞬混乱しました。

ーー屋根がないことは歌詞でもフリとオチになっていて最高でした。

重盛:MVではドローンで上空から撮影してますから(笑)。

ーー〈養う父 床はほぼ土〉もパンチラインでした。

重盛:ありがとうございます。そこは自分でも自分を褒めてあげたいフレーズですね。

ーー笑える歌詞だけど、困難を乗り越えていけと励ます内容だから泣けるところもあるし、なにより二人の固い絆を感じる歌詞でした。

重盛:たぶんMVを見てもらえたら泣くと思います。映画みたい。希帆ちゃんの育ちがヒップホップなので。

ーー言わばハードノックライフですからね。それに同じような境遇の子は世の中にいますし。

重盛:本当にそう思ってて。どれだけ貧乏で家が汚くても、それを笑ってくれる友達がいれば楽しく生きていけるよっていうのを伝えられたなと思ってます。

希帆feat.友達(重盛さと美) / uchiseiuchi 【Official Video】

ーー希帆さんは今年7月にInstagramで実家前で撮った写真をアップし、「コンプレックスは武器だ」と投稿していました。そのように気持ちが変化したのはいつ頃からですか?

希帆:去年辺りからですね。さっちゃんと友達になって10年以上だけど、最初の5年くらいはさっちゃんにもずっと隠してて。実家は屋根がないから雨の日とかに直しに行ってたんです。それで、ある日、仕事のときに私と連絡が取れなくなったことがあって怒られて。「ごめん。今、家がこんな状況なんだ」って写真を送ったら「爆w」って返ってきて。「あ、これは笑える話なんだ」って、そこで気付いたんです。

重盛:落ち込んでたんですよ。こんな家に生まれて恥ずかしい、みたいな。いやいや芸能界で言ったらめちゃくちゃ武器だよって。むしろ強すぎるよって言って。宝の持ち腐れだったんです(笑)。

ーー今ではそれがこうして曲にもなりましたからね。

希帆:そう。コンプレックスを跳ね返しました!

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