JABBA DA FOOTBALL CLUB『国道9号線』インタビュー ヒプマイ楽曲提供やソロ活動を経て突破した“自分像”

JABBA DA FOOTBALL CLUB『国道9号線』インタビュー ヒプマイ楽曲提供やソロ活動を経て突破した“自分像”

 『ヒプノシスマイク』(以下、ヒプマイ)への提供楽曲「School Of IKB」がiTunesチャート総合1位・オリコンウィークリーチャート1位を獲得、メンバーのROVINとアバンティーズ・そらちぃとの2MCユニット「ROVIN × Buddy」も大きな話題となった4人組ラップグループ・JABBA DA FOOTBALL CLUBが、2ndシングル『国道9号線』をリリースした。

 リーダーNOLOVの地元を走る国道の名をそのままタイトルに掲げたこの曲は、ストリングスセクションと女性コーラスをフィーチャーした壮大な広がりを持つドラムンベースチューン。抜け出せない閉塞感や、現状に燻る焦燥感を抱えつつも、それらを打破し「想像のさらに先の自分」を目指そうと訴えかける力強いメッセージソングに仕上がっている。

 今回リアルサウンドでは、メンバー全員へのインタビューを企画。新曲の制作エピソードはもちろん、ヒプマイ提供曲の反響や、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続く中、どのような思いを抱えて日々を過ごしているかなど、率直に語ってもらった。(黒田隆憲) 

勝手に想像している「自分像」にとらわれていた

ーー新曲「国道9号線」のタイトルは、どこから来ているのですか?

NOLOV:もともとは「国道」というタイトルだったんですよ。9号線というのは僕の地元、島根を通ってるんですけど……出身どちらっすか?

ーーいきなり逆質問ですか?(笑)。僕は埼玉です。

NOLOV:何号線ですか?

ーーよく使っていたのは16号線かな。

ROVIN:ですよね? 僕は千葉なんで一緒です。

ROVIN

NOLOV:なんか、多分それぞれの国道ってあると思うんですよ。東京に住んでいたら、多くの人は国道246号っていうだろうし。僕は、このメンバーの中で一番田舎に住んでいて、僕にとっての国道は9号線なので「じゃあもう、ずばり言っちゃえ」みたいな。

ーーレペゼン的な意味も含めて。いつ頃から作り始めたんですか?

NOLOV:去年の5月くらいには出来ていました。前作シングル『新世界』を作り終えた後に、「夏の曲が欲しいな」という話になったのですが、その頃ちょうどめっちゃ食らってて。人生ドン底というか、こんなの初めてっていうくらい落ち込んでたんですよね。

ーー何があったんですか?

NOLOV:友達が死んで、じいちゃんも死にかけてて、彼女にもフラれて……っていう(笑)。自分を形成していたものが、ボコボコとなくなっていくような感じだったんですよね。しかも『新世界』のリリースが控えていて、メジャーデビューも決まって色々とナイーブになっていたし。それで、母ちゃんのボックスの軽自動車に乗って国道9号線を走りながら、バオちゃん(BAOBAB MC)が作ったオケを流しながらサビのリリックをずっと考えてたんですけど、その時に思ったんです。「メジャーデビューということは、この島根のド田舎まで自分たちの曲が流れるんだな」って。東京で暮らしているうちに、そういう感覚が分からなくなってたんですよね。

 しかも、周りの目ばかり気にしてたなと。「俺ってダサくないかな」「自分たちの曲はイケてるのか?」みたいな。でも、そもそも自分たちが音楽を始めたのは、そんなことを気にするためじゃなかった。しかも、自分が思っているほど周りの人たちは自分に注目してるわけじゃない。結局、自分が勝手に想像している「自分像」にとらわれているわけなんですよね。

NOLOV

ーー「周りからこう見られているのでは?」という自分像ですね。

NOLOV:そうなんです。例えばバオちゃんは、こういう体型だから(笑)、子供の頃とか「将来は相撲取り?」みたいなことを言われたと思うんだよ。

BAOBAB MC:めっちゃ言われてた(笑)。

NOLOV:そうやって言われ続けることで、自分でも暗示をかけてしまってそれ以外の自分を想像できなくなってしまう。〈夜の国道をぶっ飛ばして 想像の僕の先へ行こうよ〉というラインは、そんな「想像上の自分」から解放されようぜ? ってことを歌いたかったんです。17歳の時の自分は閉じた環境の中にしかいなかったから、それが分からなかった。27歳になった今、「世界はもっとバカ広いし、何にだってなれるんじゃね?」と思うんですよ。バオちゃんが今からモデルを目指したって全然構わないじゃないですか。

ーーなるほど。〈想像の僕〉というのは、〈理想の自分〉という意味なのかと僕は思いました。「理想の自分の、さらに先を目指そう」みたいな。

NOLOV:そういう意味で取ってもらっても全然いいです。というのも、「理想の自分」って、意外とハマってないことも多い気がしていて。自分で思い込んでいる「いい部分」と、周りの人たちが思っている「いい部分」は違うことってあると思うんですよ。「俺、お笑い目指してるんで」って思ってる奴が、全然おもんないこともあるし(笑)。「それよりお前には向いてることあるんちゃう?」って。いずれにせよ、自分で勝手に規定してしまったイメージから解放されようぜ?ということが言いたかったんです。

ーートラックはどんなところにこだわったんですか?

BAOBAB MC:まず、NOLOVからもらったアイデアをベースにざっくりとトラックを作って、それを彼に渡してラップを乗せてもらってから、さらにブラッシュアップしていくという感じでした。今回、「ストリングスを入れたい」って言ってたよね?

BAOBAB MC

NOLOV:そう。ストリングが鳴っている後ろで壮大な女性コーラスが広がるような、エモーショナルででっかいトラックにしたかった。だったらビートはドラムンベースだな、みたいな感じで作っていきました。そこからみんなで手分けしてリリックを乗せていったんです。

BAOBAB MC:結構、ぶっ飛んだアイデアを出してくるんですよ(笑)。ストリングスとか今まで考えたことなかったし、バイオリンだと思って打ち込んだ音色がヴィオラだったりもしたんですけど。

NOLOV:そうそう(笑)。

BAOBAB MC:「この音域はヴァイオリンじゃなくてヴィオラだよ?」「音域……?」みたいな(笑)。そうやって、トラックを作りながら色々学んでいる感じなんですよね。

ーーBAOBAB MCさんの作るトラックは、これまでもヒップホップ以外の要素がたくさん入っていますよね。特にロックからのインスピレーションは大きいのではないかと。

BAOBAB MC:そうなんです。もともと僕はバンドでギターをやっていたし、X JAPANのHIDEさんがめちゃくちゃ好きだったんですよ。他にはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTやTHE MAD CAPSULE MARKETS……そういう音楽を幼少期にめちゃくちゃ聴いていました。バンドでも、ギターだけじゃなくてMPCを叩いたりするような、すごく変な音楽をやっていた。そうのうちDJもやるようになり、「トラックを作るの楽しそうだな」って。そんな時にNOLOVと出会ってJABBAを始めることになったんです。なので放っておくとすぐギターを入れちゃうんですよ(笑)。曲を作る時も鍵盤じゃなくてギターから作ることの方が多いし、ヒプマイの曲でもギターを入れたし。

ーーなるほど。コードの響きが印象的な、切ない曲が多いのもそこから来ているのかもしれないですね。

BAOBAB MC:嬉しいです。コードの響きや広がり感は自分でも大切にしていますね。今回の曲も、広大な場所で4人が並んでいる風景をイメージしながら作っていきました。

ーーちなみに、今お話に出たヒプマイでは、イケブクロ・ディビジョンBuster Bros!!!の山田二郎(cv.石谷春貴)に、「School of IKB」という楽曲を提供しましたよね。どうでしたか?

ASHTRAY

ASHTRAY:自分以外の人が歌う曲を作るのはやったことがなかったで、すごく楽しかったですし、たくさんの反響をいただけたのは嬉しかったです。ホッとしましたね。「あの曲だけダメじゃね?」って言われたらどうしようかな……と思ってたので(笑)。

BAOBAB MC:それまでの山田二郎くんの楽曲は、ゴリゴリのヒップホップ だったので、それとは真逆の曲を作るのはチャレンジングでしたね。曲調としては自分の得意分野なので、できた曲自体には満足していたけど、それがヒプマイのファンに受け入れられるかどうかがちょっと不安でした。なので、聴いてくれた人たちから「ありがとう」って言われたときは嬉しかったです。

ーーファン層が広がった感触はありました?

NOLOV:そんな感じはします。特にASHTRAYは「次郎くんに似てる」って。確かに言われてみるとそうかも……?って感じなんですよね。本人もまんざらでもない様子だし(笑)。

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