ヤバイTシャツ屋さん、UNISON SQUARE GARDENがチャート1&2位に “3ピースでどこまでやれるか”追求するバンドイズム

ヤバイTシャツ屋さん『We love Tank-top』

 話題性でいえば、旬はヤバTことヤバイTシャツ屋さんでしょう。1stアルバム『We love Tank-top』が出た4年前はイロモノの匂いが強い、本気でバンドをやっているのか茶化しているのかよくわからない印象でしたが、継続は力なり。誰にも思いつかないコミカルな曲を量産し続け、また珍妙なプロモーションを続けることによって、新しいファンはどんどん増えていきました。

 際どいことを題材にしているようで、実は誰も傷つけない。笑えるし元気が出るけど、カラ元気の励ましはまったくない。そういう佇まいも今ウケる理由なのでしょう。4枚目のアルバムにして初のオリコン1位。こやまたくや(Vo/Gt)が「バンドまじで夢ありすぎ!!!バンドやってて良かった!!!!」とツイートしていたことは先日ヤフーニュースにもなっていましたが、なんだか素直に嬉しくなります。ニューアルバムの真骨頂は、頼むから生きていてくれ、というメッセージが突き刺さるラストナンバー「寿命で死ぬまで」。こんなピュアなヤバT、初めてです。

ヤバイTシャツ屋さん - 「Give me the Tank-top」Music Video
UNISON SQUARE GARDEN『Patrick Vegee』

 対してUNISON SQUARE GARDENは15年選手、人気急上昇のヤバTに比べれば、ほどよく落ち着いた中堅といったところでしょうか。ニューアルバムもバランスがよく取れていて、激しいロック、爽やかなポップス、どこかシリアスな「摂食ビジランテ」のような曲、さらにはMVが公開されてアンサンブルの変態性に世間がざわついた「世界はファンシー」みたいな曲も収録。何をやっても自分たちだという自信が伺えます。そして全曲から伝わってくるのは、やはり、ひとりではこんなことできない、でもバンドならこんなことができる、という想いの強さ。バンドを組むきっかけがユニゾンだった、という若手もますます増えてくることでしょう。

UNISON SQUARE GARDEN「世界はファンシー」MV

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

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