欅坂46、胸を打つ隠れた名曲たち 「月スカ」「エキセントリック」「角を曲がる」……カップリング&アルバム収録曲を解説

『永遠より長い一瞬 ~あの頃、確かに存在した私たち~』(TYPE-A)
欅坂46『永遠より長い一瞬 ~あの頃、確かに存在した私たち~』(TYPE-A)

 ベストアルバム『永遠より長い一瞬 ~あの頃、確かに存在した私たち~』を本日10月7日に発売した欅坂46。アルバムは通常盤に加えてTYPE-A、TYPE-Bの3形態が用意され、新曲に合わせて全44曲が収録される。グループ結成から5年間の集大成となる今作。先週は当サイトにてシングル曲を振り返ったが(欅坂46、快進撃を生んだ楽曲の数々ーー「サイマジョ」から「誰がその鐘を鳴らすのか?」までシングル曲を全解説)、今回はそれ以外の収録曲に注目してみたい。

「月曜日の朝、スカートを切られた」(全TYPE収録)

 1stアルバム『真っ白なものは汚したくなる』のリードトラックで、欅坂46ストーリーの“前日譚”的作品。重苦しいどんよりとしたリズムに、〈反抗したいほど/熱いものもなく/受け入れてしまうほど/従順でもなく〉といった若者特有の鬱屈とした感情の歌詞が乗る。“サイマジョ前夜”をイメージしたというMVは、薄暗い渋谷駅周辺を舞台に少女たちが勇敢に立ち上がっていく様子が描かれる。画面やサウンドからふつふつと湧き上がるエネルギーに、“はじまり”を予感させられる一曲だ。

欅坂46 『月曜日の朝、スカートを切られた』

「キミガイナイ」(TYPE-A収録)

 1stシングル『サイレントマジョリティー』のカップリング曲。大きなステンドグラス風の映像や、照明と水を駆使したステージングなど、毎回のライブでの演出が注目されている。曲で歌われるのは“本当の孤独”。3つの音程をループする独特の旋律は、孤独に苛まれる主人公の心の迷いが表れているかのようだ。作曲したSoulife(河田総一郎と佐々木望によるユニット)は、後に「二人セゾン」を楽曲提供することになる。

「語るなら未来を…」(TYPE-A収録)

 2ndシングル『世界には愛しかない』のカップリング曲。力強いビートに未来志向の歌詞が乗るダンスチューン。ライブではしばしば曲前にダンストラックが流れ、激しいダンスパフォーマンスが繰り広げられる。振り付けも堂々としていて、グループ全体が鋭い表情と一糸乱れぬ動きで会場を圧倒する。欅坂46の真価がライブにあることを再確認させられる一曲だ。

欅坂46 『語るなら未来を・・・』

「制服と太陽」(TYPE-A収録)

 名曲ばかりの3rdシングル『二人セゾン』の中でも、特に胸を打つ一曲。歌詞の設定は三者面談で、進路相談をする生徒とその親、教師が登場する。〈就職をするか?何もしないつもりか?〉。この問いを歌うのは、いつかは卒業を決断しなければならない彼女たち。優しい楽曲の雰囲気が歌詞をより儚く切なく響かせる。それを聴く我々もまた、どこか常に決断を迫られているような気がするのだ。

「エキセントリック」(TYPE-A収録)

 4thシングル『不協和音』のカップリング曲。ナスカがはじめて欅坂46に楽曲提供した作品。ラップ風味の節回しや奇妙な踊り、社会のルールや「普通とは何か」を問い続けるリリックなど、48グループ〜坂道シリーズの作風のみならずそれまでのアイドルソングの枠組みからも逸脱するような楽曲で、その後の欅坂46の活動を象徴する作品でもあった。インディーズのバンドの曲がポップスのフィールドにのし上がってきたような、突然変異的な驚きがこの曲にはある。

欅坂46 『エキセントリック』

「避雷針」(全TYPE収録)

 1stアルバムを引っ提げた全国ツアー後にリリースされた5thシングル『風に吹かれても』のカップリング曲。「エキセントリック」や「月曜日の朝、スカートを切られた」の陰鬱なムードを引き継ぎつつも、隙間いっぱいに詰め込まれた文字量の多い歌詞や、荒れ狂うベースライン、目まぐるしく移り変わる展開に次ぐ展開に、ドロドロとした感情が漏れ出るような新境地を感じる一曲である。作曲は「エキセントリック」に同じくナスカ。

欅坂46 『避雷針』Short Ver.

「もう森へ帰ろうか?」(全TYPE収録)

 6thシングル『ガラスを割れ!』のカップリング曲。MVのテーマは”大量生産されるアイドル”。幻想的なピアノ〜エレクトロサウンドをバックに機械的で無機質なダンスが繰り広げられ、ロボットのようなアイドルが徐々に人間的な熱や心を取り戻していく。こうしたテーマの曲を彼女たちが歌う“風刺性”も欅坂46の特徴のひとつ。ラストシーンでは生き生きと踊るメンバーたちの様子が印象的だ。

欅坂46 『もう森へ帰ろうか?』Short Ver.

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