Re:valeが示した“トップアイドルとしての独自性” 生きる全ての人に向けられたメッセージを聴き解く

 我々には想像もつかない“トップアイドル・Re:vale”の現実は音楽に反映され、エンターテインメントになる。そしてその表現から得られる感情は決して手の届かないものではなく、“普通“を生きている私たちにも心当たりのあるものではないだろうか?

 それを明確に示しているのが、シングルのc/wである「Fly! More Liberty」だ。マイナーコードのメロディに疾走感ある激しいロックナンバーは、Re:valeの得意とするジャンルと言えるだろう。「ミライノーツを奏でて」の柔らかで包み込むような雰囲気とは真逆の、“かっこいいRe:vale”の面を鮮烈に突きつける攻めの一曲である。

 〈とっておきの夢に 反実仮想をブレンド 踏み込みたいならどうぞ 飲み干しなよ Star’s Wine!〉というジャブから始まり、〈C‘mon Rival!〉とサビに入るあたり、非常に好戦的でドキッとさせられる。アイドルがひしめき合う世界で、立ち位置を確立していなければできないアタックだ。だが、これもRe:vale流の愛のある挑発とも言える。叱咤激励というよりは、自由な世界へアジテートするような強いメッセージが感じられるのだ。

Re:vale「Fly! More Liberty」

 Re:valeがトップの座を守っているとはいえ、TRIGGER、IDOLiSH7といった後輩グループも台頭してきており、アイドルブームは加速するばかり。いよいよアイドル界も混沌としてきた。そんな混迷をRe:valeがエンターテインメントに昇華すると、この楽曲のように強く激しい王者然としたロックになる。

 だが、この曲のタイトルにもあるように、彼らの伝えたいメッセージは優しい。これは他のアイドルにだけ向けられたメッセージではなく、夢を追う人、高みを目指している人、迷いやしがらみにがんじがらめになって生きている人……日々努力し、生きる全ての人たちに向けられた熱いエールではないだろうか。

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 Re:valeという最小単位の人間関係から生まれる音楽やメッセージは、彼らのパーソナリティや現実を多少なりとも反映しているに違いない。そこから受け取る感動は、どんな人にも大なり小なり覚えのある痛みや喜びであったりする。だからこそ彼らは親しみやすいトップアイドル、絶対王者、表現者として君臨している。まさに〈三千世界の緞帳 そっと飾りつける僕ら〉ではないか。

 彼らに起こる全てのことが2人の絆になり、またRe:valeとしての芸術表現の糧となるのならば、私たちファンはその全てを遠くから見守り、彼らの与えてくれる痛みや喜びに一喜一憂しながら追いかけていくしかない。そんな私たちに、Re:valeは今後どんな音楽で手を差し伸べてくれるのだろうか。

■草野英絵
ライター。アニメ、ゲームなどのエンタメ記事を中心に雑誌・WEBで活動中
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