WEAKEND WALKER、五感を刺激するロックと美しい狂気 バンド体制初披露となった『1st ANNIVERSARY LIVE』レポート

WEAKEND WALKER、結成1周年ライブレポ

 期待できない時代に、期待したくなってしまった彼らに。ステージから迫ってくる音圧は、まるで希望だった。オンラインライブが当たり前になり、都合よく圧縮された映像を追いかける日々。パンデミックは作りこまれた映像ライブの美しさを教え、それ以上に生ライブの力も感じさせた。

 9月19日、Veats Shibuyaにて開催された『WEAKEND WALKER 1st ANNIVERSARY LIVE』。「五感で音楽を浴びたい」と枯渇していた心を、WEAKEND WALKERは瑞々しいロックで潤したのである。

 SEに導かれ、メンバーがステージに登場。teppeとtaichiは左右に分かれて向い合い、その中間地点でSiNが佇む。「DREAM EATER」でライブを封切ると、瞬時にライブハウスの空気を掌握した。音源では伝わり切らない生音のパワーが非常に強く、バンドの音に食いつくされそうな感覚に陥る。波のように満ち引きする声は、選び抜かれた言葉をより色彩豊かに響かせた。かと思えば「蛍」では、低音からファルセットの切り替えを難なくこなし、ボーカルとしての力量を発揮。SiNが“聴かせられる”フロントマンであることは間違いないが、何よりもバンドを背にして立つときの狂気が美しくてたまらなかった。

 静寂の時を挟み、EPタイトルにもなっている「黒点」へ。淡々と進んでいく伴奏はベースが重なることで立体的になり、バンド体制ならではのグルーブを振るう。ハイピッチをかけるギターソロは言葉にならない想いを叫んでいるようで、より一層オーディエンスの心を惹きつけた。音源だと一見不愛想に過ぎていくズダズダしたフレーズも、生ライブでは一歩一歩迫ってくる。その愚直な音色は「俺らは変わらずに音を鳴らしている」と、変わってしまった時代に宣戦布告しているようだった。

 「Polar Bear」では言葉を落とすように歌い上げ、「盤上のカランコエ」では不条理にポップに毒付く。曲ごとにクルクルとイメージを変え、サウンドを操り、リリックの届け方もアレンジする。粗削りだが鮮やかな手腕は、彼らがバンドとして初ライブだということを忘れさせた。

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