森久保祥太郎が語る、コロナ禍を経て伝えたいメッセージ 「価値観をアップデートして、新たなものをクリエイトしていく」

森久保祥太郎が語る、コロナ禍を経て感じたこと

僕らの時代の感覚と今では、マネタイズのタイミングが違う

ーー先ほど「WAY OUT」には「価値観をアップデートする」というメッセージがあるとおっしゃっていましたけど、森久保さんご自身では、どんな価値観がアップデートされましたか?

森久保:これは偶然ですけど、僕はマネージャーと2人で会社をやっていて、昨年末に立てた2020年の会社としてのテーマが、今までの価値観や基準を一度疑ってみるというものだったんです。

ーーコロナとか関係なく。

森久保:関係なく。去年のうちから、計らずともそういう話をしていて。と言うのも、音楽の売れ方が変わって来ているのは、みなさんもご承知だと思うんですけど……。僕らの世代は音楽と言うと、レコードやCDを買って聴くものだったけど、今はサブスクを含めて、特に10代のみなさんにとっての音楽は、そういうものではないですよね。僕らが昭和に生まれ育って当たり前だと思っていたエンタメに対する価値観がぜんぜん違うなって、10代の子たちと仕事をしていてすごく感じたんです。「こりゃいかんぞ!」って(笑)。でも僕らの仕事は、そういう若い人たちも含めたところに向けてエンタメを届けていくことだから、どんどんアップデートしていこうと話をしていたところだった。それで、ファンクラブの会員向けにしかやっていなかったYouTubeを、もっと開いてやっていこうって。

ーー6月1日に、YouTubeに『アドナインスチャンネル』を開設して、100問に答える企画をやっていましたね。

森久保:そうそう。実際にコロナ禍でYouTubeを始めた人は多いじゃないですか。僕は始めるのが遅くなっちゃったけど、準備と心構えは、もっと以前から何となく出来ていたんです。だから今振り返ると、時代と言うか時の流れに引き寄せられて、去年からそういう風に思っていたのかなって。

ーー自分の中にある価値観にこだわるのではなく、新しい価値観を受け入れて、その時代や世代に対応していくということを考えていたと。

森久保:要するに、僕らの時代の感覚と今では、マネタイズのタイミングが違うんじゃないかと。ミュージシャンの発想としては、作った音楽がそのまま商品であってほしいと思うのは当たり前だけど、そうじゃないところで仕掛けて、後で結果として返ってくるみたいなことは出来ないかとか、いろいろ考えていて。例えば「TikTokをやってみようかな?」とか(笑)。

ーーTikTokerデビューします? やったほうが良いと思いますよ!

森久保:例えばの話だから(笑)。いや、でももっとそういう、無いと思っていたところにも、目を向けていくべきでなんすよね、きっと。確かに、TikTokで遊んでもらいやすい曲を作るのも1つの手だなって思うし……。まあ、そんな話をしている矢先にコロナ禍になって、ウダウダ言っていられないような状態になって。

ーー強行的にでもそれを推し進めないと、前に進めない状態になってしまったという。

森久保:そういうことです。だから僕個人としては、ある意味で良いタイミングでもあったなって思っています。「WAY OUT」を書いたことで、混沌としていた感情を整理出来た気がして、すっきりしたところがあるし。まだ出口までは分からないけど、進んで行く方向は分かっているので、そこに向かっていくだけだし。だから、はるかにポジティブな気持ちでいます。

ーーライブの話も伺いたいのですが、「WAY OUT」のMVの最後で、自分のライブ映像を憧れのような眼差しで見つめているシーンが印象でした。ライブへの渇望が、すごく表現されていて。

森久保:ずっと何作も撮ってくれている同世代の監督だったから、曲を聴いてすぐ感じて取ってくれて。僕からは何か注文することもなく、言われたまま動いただけで、それでバッチリだったんです。でも最後に自分のライブ映像が壁に投影されることは、知らなかったから驚きましたね。

ーーサプライズみたいな?

森久保:何かの映像が映ることは知らされていたんだけど、まさか自分のライブ映像だとは想像しなかったから。グッとこみ上げてくるものがあって、「この空間にまた戻りたい」、「また絶対ここに帰るぞ!」って。本当に胸が熱くなりました。

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