嵐がファンとともに歩んだ21年ーー結成日を迎えて想う、5人から受け取った数え切れない感謝の結晶

“嵐がファンとともに歩んだ21年”

 そんなテーマをいただいて、「ぜひ書かせてください」と手をあげ、それなりに猶予をもらったにも関わらず、何日も何日も頭を捻らせて唸りながら考えても、一向に言葉が出てこない。嵐がファンにくれたモノってなんだろう、と、極々シンプルに考えたとき、それが有り余るほどにありすぎるのだ。

 まず言うまでもなく、端々まで、そして隅々までホスピタリティが行き届いたコンサート。一人でも多く、少しでも平等にパフォーマンスを届けようと進化し続けるその演出。会場がひとつになる一体感。辛いとき、悲しいとき、苦しいとき、楽しいとき、人生の節目や日常を彩る歌の数々と、それを聞いただけで止めどなく溢れ出す彼らとの思い出。日々の疲れを癒すバラエティ、CM、ドラマ、ラジオ、ありとあらゆるエンターテインメント。辛い日々を生きるための活力。

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Feet in the sand ☀️ #嵐 #ARASHI

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 考え始めると、枚挙にいとまがなくて、いくら言葉を尽くしても文字数を重ねても少しも足りないという焦燥感に駆られる。そのくらい、一日二日じゃ語りきれないほどの笑顔と癒しと励ましと勇気と愛情を、彼らから受け取ってきた。今こうして書いている最中にも、彼らからもらったいくつもの宝物をどうして言葉にしていいか悩み、どう伝えたら少しでもそれに報いれるのだろうかと考えているだけで頭と心がパンクしそうなほどだ。

 でもきっと、おそらく、彼らがしてきたファンサービス(あえてそう呼ばせて欲しい)の中で、一番大きいものは「変わらないこと」だったのではないかと思う。誤解なきように言わせてもらうと、「進歩がない」という意味ではもちろんない。かつてはオリコン1位が取れず異例の握手会を敢行するなど奔走していた5人が、今や5大ドームツアーを行うアーティストの常連となり、果ては昨今のSNS解禁を皮切りに、事実上の世界進出だ。驚くべき飛躍、跳躍、進化といえるだろう。

 にも関わらず、である。名実ともに「トップアイドル」であると言える地位まで上り詰めてなお、どこまでも謙虚な姿勢を一貫している。「トップになりたいって夢、絶対に叶えようね」とは、嵐が初司会を務めた2004年の『24時間テレビ』にて、相葉雅紀が涙ながらに発した言葉だ。そして、今もあの時の幼ささながらに「まだ嵐を巻き起こせてない」と、2019年の活動休止会見にて相葉は口にしていた。あの日の誓いを、メンバーやファンとの約束を、思い出を、今でもずっと大切にしている、というのが随所に伝わってくる。

 変わらないのは謙虚な心やハングリー精神だけではない。取り巻く環境は目眩くほどに変わり続け、彼ら自身もどんどん成長し続けている中、いつまでも一貫して変わらないのは「グループの在り方」なのだと思う。アイドルに限らず、多くの「成功した」アーティストのファンには「好きな人、応援している人が大きく成長していく喜び」とともに、「今まで近くで応援していた人たちが遠くへ行ってしまう寂しさ」を感じる人も多いのではないだろうか。

 もちろん、嵐をグループ結成当初から応援しているファンの中には、そういった葛藤があった人も多いだろう。それでも、同時に「どれだけライブの会場が大きくなっても、FCの会員数が膨れ上がっても、彼らは変わらずにいつもの彼らだった」と思えたことこそ、ファンが増えども離れない理由の一つなのではないかと感じている。

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 本当に不思議なもので、絶対に手の届かないほどのスーパースターだとわかっているのに、なぜか彼らには強烈な「親近感」を抱かせる空気がある。それはまるで、高校のクラスメイトのような。年に数回会う親戚のお兄さんのような。直接の交流は少なくとも、現実の自分の人間関係の中に実際に「いる」という錯覚を起こさせるような、そんな「親近感」だ。

 嵐は本当にどこまでもフラットな人たちなのだ。何度も5大ドームを埋めている人たちなのに、深夜番組でお手製のすごろくではしゃいでいたあの頃からちっとも変わっていない空気感のまま、今も5人で笑い合っている。あの頃とちっとも「変わらない」「どこにでもいそうな」「いつまでも少年のような」「等身大の」彼らが、いつでもそこにいる。それがどれほど嬉しくて頼もしいことだろうか。ファンではない人には伝わらないかもしれないが、きっとファンには通じるはずだ。言葉にしなくても伝わる、何よりも雄弁なその「在り方」が。

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