リュックと添い寝ごはんが作り出す、自然体でアットホームな空気感 メジャーデビュー発表した、初の配信ライブレポート

リュックと添い寝ごはん、自然体な配信ライブ

 MCで松本が話していた「サウナに行ったら初対面のおじさんから“あんちゃん”と話しかけられた」というエピソードは、本人としては些細な話題のつもりだったろうし、「この時代に“あんちゃん”って呼ばれることなんて珍しいよね」というところが本筋なのだが、その話の直後に演奏された「青春日記」がやたら刺さった。偶然出会った知らない人と些細なやりとりをすることすら減ってしまったこの状況下だと、〈いつでも笑いあって/バカなことをしてたな〉〈あの頃に描いてた/夢は希望はもうないさ〉といったフレーズに何も感じずにはいられない。しかし、失ったものを数えるのではなく、そこから〈僕らの青春は/ここからだ〉と前を向くのがこのバンドの音楽だ。

 ここで突如映像が切り替わり、「3」「2」「1」とカウントダウンが始まる(「生活」MV冒頭を彷彿とさせる演出だ)。そして、バンドがビクターエンタテインメント内のレーベル<SPEEDSTAR RECORDS>からメジャーデビューすること、12月9日に1stアルバム『neo neo』をリリースすることが発表された。松本は、配信で観ているファンに向けて、自分の口から改めてそれを伝えたあと、「今までと変わらず、僕たちらしく、楽しんで音楽活動をしていきたいと思います」「聴きたい曲、やりたい曲を日々追求していきたいと思います」と、バンドのスタンスを明言した。

 そのあと、ラストに演奏された初披露の新曲のタイトルは「あたらしい朝」。たとえ今日雨が降ったとしても、雨に濡れたアスファルトがなかなか乾かなかったとしても、明日は晴れると信じていたい。たとえお客さんを目の前にしてライブをすることができないとしても、自分たちのライブを届けて、せっかくだからクイズ大会も開いたりして、あなたのことを笑わせたい。お手製の秘密基地に招待されたみたいな1時間半の配信ライブからは、そんなバンドの想いが伝わってきた。

 「リュックと添い寝ごはん、メジャーデビュー頑張るぞー!」という飾り気のない言葉を残して、ステージを去った彼ら。どこまでも自然体な佇まいで以って、このバンドは「僕たちも自由に楽しむから、あなたも自由に楽しんでほしい」というメッセージを伝えてくれている気がする。楽しいときに楽しいと感じるその気持ちを、枯らしてしまう必要はないのだと。

■リュックと添い寝ごはん『ワンマンショー in お茶の間』
8月26日(水)@Shibuya O-nest
M1.生活
M2.ノーマル
M3.タイトル未定(未発表曲)
M4.サニー
M5.タイトル未定(未発表曲)
M6. 500円玉と少年
M7.手と手
M8.タイトル未定(未発表曲)
M9.グッバイトレイン
M10.青春日記
M11.あたらしい朝(未発表曲)

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