『Marika’s Labo』Vol.1(前編)
伊藤万理華がパソコン音楽クラブに聞く、表現に対する思い 新連載『Marika’s Labo』スタート
西山と柴田の自然体な関係性
伊藤:歌詞を一緒に考えたりはするんですか?
柴田:それぞれが歌詞を書いて、それをすり合わせて表現とかを「ちょっと違うね」とか、「これいいね、もっと広げよう」という感じで。
西山:基本的にお互いが出したものに対して、よほどのことがない限りはダメ出しはしないですかね……。
伊藤:確かにあまり言い合う空気感ではなさそうな気がします。「これいいね」「あれいいね」って言いながら作ってそうですよね。
西山:100個くらいある中で1個「絶対にこれは違うな」みたいな、お互いが違う方向を向いていることが稀にあるので、そのときだけは(笑)。
伊藤:二人だとお互い作りたいものがあって対立しちゃう気がしますが、そういうことはないんですね。
柴田:性格も違うんですけど、奇跡的なバランスでそれがうまく作用していて。
伊藤:そもそも、お互いに対してどういう印象を持っていらっしゃいますか?
柴田:西山はすごいきっちりしてて、僕が適当なんで(笑)。
西山:やっていくうちにお互いの良いところに影響をうけたり、お仕事する中で経験値がたまって自分の足りていないところが足されたりして、お互いバランスが良くなってきているんじゃないかなと思います。最初の方は僕がすごく神経質で、柴田は良い意味で大雑把というか、感覚的に物が作れるタイプで。最初は「なんでこんなに適当にするのかな?」と思っていたんですけど、そういう違いが自分たちの良さかなって気がするし、一人でやっていたらもっとつまらなかったんじゃないかなと思いますね。
伊藤:一人でも曲を作ることはあるんですか?
西山:たまに余裕があるときに、二人で作るのにはちょっと違うかなと思うようなジャンルや、実験的にやりたいなと思ったことがあったらやるんですけど、やっぱり最終的には二人でやる方が面白いです。
伊藤:それ、すごく良いですね。
西山:仲良しみたいで嫌ですね(笑)。
伊藤:パソコン音楽クラブとして、どういう風に見られたいですか?
西山:自然体ですかね。なるべく自然でいたいっていうのがあって。
柴田:努力しないわけじゃないけど、ライバルとして切磋琢磨するよりも、名前の通り部活的なゆるさがいいなと思っていて。僕がずっと作っている曲を西山が良いと思ってくれるかな、と思ってデモを出したりするし、多分西山もそうだと思うから、そういう関係性がいいのかなって思ってます。
伊藤:いいですね。音楽を作る人って歌詞で心情がわかったりするじゃないですか。でも言葉がなくて、主に音だけで曲を作るって、やったことがない立場からすると、どうやって表現するんだろう、と思います。影響を受けているものやインスピレーションになっているものはありますか?
柴田:僕は音楽を作るときに使うものをすごく限定していて。基本的に1980年代~90年代に作られた機材を使って、最近のものはあえて使わないようにしています。自分が優柔不断でどういうものを使っていいかわからないのもあるんですけど、その時代の音がすごく好きなんです。そういう時代の楽器って、プリセットという、最初から入っている音があるんですが……ピアノの音っていってもあまりピアノっぽくなかったりして(笑)。
伊藤:そうなんですか。
西山:当時の機械だから再現度が低くて、それがすごく魅力的で。ピアノに似ていなくてもすごくいい音だな、と思うというか。そういう、音から感じるインスピレーションは曲を作るときに大きな意味を持っています。
柴田:そうですね。曲って、風景や心情を扱っているものが多いじゃないですか。僕たちの中では人の声がない曲も同列に扱いたいなという思いがあって、言葉のあるなしにかかわらず、思ったことや心の機微、見たものを曲の中に落とし込めたらいいなと思いますね。
伊藤:今後作ってみたいものや、今制作している音楽はありますか?
西山:最近、ちょうど6曲くらいのミニアルバムを音源化したんですけど、それをリリースしようと思っていて。全部インストなんですけど、何か言いたいことがあるというよりは、ちょうどステイホーム期間で家にいて、ゴロゴロしたり、なんとか楽しくやろうかなと思った雰囲気や、自分たちの気持ちを日記的に音楽にしておこうと思ったものです。
柴田:最近は自粛モードになっていて、でも外に出たら普通に空が晴れていて、いつもと変わらない。僕たちが住んでいるところは住宅街なので都心部はわからないですが、そういうちょっと異様な感じを綴っておければなって。
西山:難しい話になってしまいましたが、こういう状況って人生でもうないことだと思うので何か残しておこうかなと作った作品で、結構気に入っているので、リリースできたら嬉しいなって。
伊藤:そうなんですね。今の状況も関わってできた音楽なんですね。すごく聴きたいです!
※コロナウイルス感染防止の観点からマスクを着用の上で取材は行っています。
【オリジナル動画】伊藤万理華がパソコン音楽クラブを直撃!
■リリース情報
パソコン音楽クラブ
『Ambience』
発売中
1,500円+税
<収録曲>
1. Breathing
2. Curved River
3. Ventilation
4. Murmur
5. Downdraft
6. Overlay
今作は6曲で構成されるインストアルバム。
自粛期間中の自分たちの生活を取り巻く空気を描いた作品となっている。
■パソコン音楽クラブ プロフィール
2015年結成。"DTMの新時代が到来する!"をテーマに、ローランドSCシリーズやヤマハMUシリーズなど80~90年代の音源モジュールやデジタルシンセサイザーを用いた音楽を構築。2017年に配信作品『PARKCITY』を発表。他アーティスト作品への参加やリミックス、演奏会を重ねながら、ラフォーレ原宿グランバザールのTV-CMソング、TVドラマ「電影少女 - VIDEO GIRL AI 2018 -」の劇伴制作、アニメ「ポケットモンスター」のEDテーマ制作などを手がける。2018年に自身ら初となるフィジカル作『DREAM WALK』、2019年9月4日にセカンドアルバム『Night Flow』、12月8日に『Night Flow Remixes』をリリース。
そして2020年8月7日に自粛期間中の自分たちの生活を取り巻く空気を描いた、6曲で構成されるインストミニアルバム『Ambience』をデジタル配信リリースした。
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<締切:9月20日(日)>