乃木坂46 伊藤万理華&井上小百合が語る“表現者としての充実”とミリオン達成でも変わらないもの

乃木坂 伊藤&井上が語る“表現者としての充実”

 2016年11月9日にリリースされた乃木坂46の16thシングル『サヨナラの意味』は、累計出荷枚数100万枚を超え、グループにとって初のミリオンタイトルとなった。大きな飛躍を見せた2015年にも増して、2016年の乃木坂46が勢いづいた背景としては、表題曲MVの仕上がりに代表されるグループ全体での細やかなコンテンツ作りに加え、メンバーそれぞれが自身の武器を見つけながら幅広く個人活動を充実させてきたことが挙げられる。今回、リアルサウンドでは、独自の個性を活かして活躍の場を広げてきた二人のメンバー、伊藤万理華と井上小百合にインタビューを実施。グループの豊かさを支える二人に、快進撃を続ける乃木坂46の現在、その中での自身の立ち位置や演者としての互いの個性について深く語ってもらった。(香月孝史)

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「手をかけてくれているから、しっかり応えないといけない」(伊藤)

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伊藤万理華(左)と井上小百合(右)。

――16枚目シングル『サヨナラの意味』がリリースされてしばらく経ちました。アンダーとしての活動、お二人のユニット曲「行くあてのない僕たち」もあった15枚目シングル『裸足でSummer』の期間を経て現在、あらためてご自身の考え方に変化はありましたか?

伊藤:15枚目シングルの期間は、自分を見つめ直す時期としてけっこう大きくて。あまり自分のポジションばかりで考えたくはないんですけど、停滞していた時期だったし、自分個人の好きなものとグループの活動とのバランスをとらなきゃと思って悩むところもあって。そこから16枚目の活動期間に入ってどうしようかと考えた時に、まずは与えられたものに対してしっかり返すことをやらなければと思うようになりました。好きなものに目が向いていておろそかになっていた部分もあったので、そういう当たり前のことをまずはやろうみたいな。ただ、その中でもあまりバランスをとらなければと考えるのではなくて、好きなものは好きって胸を張って言っていいのかなと思うようにもなりました。

――少し前の伊藤さんは、個人として好きなこととグループでの活動を分けていて、どちらかをやる時にはもう片方を引っ込めなければという感じにも見えていました。

伊藤:そうですね。それもストレスになるし、ストレスになるくらいなら、どうしてやるんだろうとまで考えることもあったので。でもそうじゃなくて、今やるべきこと、やりたいことがあるならやろうみたいに考えられるようになったというか。もちろん、先のことや周りに自分がどう映っているかも考えたりはするけど、そういうこだわりがあんまりなくなったのかな。

――以前より上手く考えられるようになったということでしょうか?

伊藤:そうですね、一個成長したのかなって思います(笑)。

井上:私は15枚目でアンダーだった期間はすごく落ち込みもしたんですけど、グループを客観的に見ることができたんです。アンダーとして代役で選抜のパフォーマンスに入る機会が多かったんですけど、福神やフロントメンバーの代わりに入ることで、今まで見えてなかった世界が見られたのが大きかったですね。選抜に入っても後ろで踊ることの方が圧倒的に多かったので、フロントで踊らせてもらうことによって「乃木坂46というグループを今の世間の方々はこう見てるんだ」ということがすごく見えてきて。代役じゃなくて自分の力でこの場所に立ちたいとあらためて思ったし、いろんな面で勉強になりました。

伊藤:9月にはアンダーライブ中国シリーズがあったし、その後に舞台『墓場、女子高生』に出演して、私は表現っていうものがこんなに好きなんだってあらためて感じられて。15枚目シングルでは「シークレットグラフィティー」で久しぶりにフロントに立たせていただいてのMV撮影だったり、ユニット曲「行くあてのない僕たち」で二人でショートムービーを撮ったり、そういうことが密にできたことも大きかったです。

――そして選抜に戻ってきた16枚目シングルの『サヨナラの意味』ですが、累計出荷枚数が初めて100万枚を超えたというニュースもありました。今の乃木坂46はすごく勢いのあるグループだと思うのですが、当事者としての実感はどのようなものですか?

井上:めっちゃ実感ないですね、生活も全然変わってないし。さっきも駅の中のご飯屋さんで食べてたんですけど、ちょっと席を離れて戻ってきたら全部片付けられてて、「すいません、私のご飯どこ行っちゃったんですか……」って(笑)。そのくらい、全然気づかれもしないし、高校時代の友達とかも変わらず接してくれるからよくわかっていないところがあります。セブンイレブンに寄ったら、キャンペーンで乃木坂46のグッズが置いてあって、なんか気恥ずかしい感じがしたり。実感がなさすぎて逆に怖いです。

伊藤:ミリオンという数字を聞けば、やっぱりすごいことだと思うんですけど、普段、アイドルとして活動する上では、何がすごいことなのかという基準がわからない状態でやってるところもあって。何かと比べるというのも違うし、ここにいることはありがたいことだなと思ってやっています。とはいえ、「すごいなあ、乃木坂」とは思います。そこに自分がいるんだって考えたら、ちょっと虚しくなるんですよ。自分が全然、それに追いついてないから。客観的に見れば私はメンバーの一員だから、追いついているかどうかっていうのは自分の問題なんだと思うんですけど。

――連載を持っている雑誌『MdN』では、個人としての活動であると同時に、乃木坂46のメンバーとしての立場から対談を展開されることもありますよね。

伊藤:『MdN』では、一人の個人として見てくださる場合もあれば、乃木坂46のメンバーとして見てくださる場合もあるじゃないですか。そこで、乃木坂46がこう見えてるんだなって学んだりします。グループのことをこんなに良く言ってくださるんだ、このグループはすごいんだなあとか。そこでは一歩引いて見ちゃったりしますね。

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――お二人が出ている表題曲「サヨナラの意味」のMVはこれまでの乃木坂46の映像作品の集大成的な部分もあって、この贅沢なものづくりの上に今の乃木坂46の勢いがあるんだなと感じます。

伊藤:うん、このMVのスタッフリストを見たら、「うわあー!」ってうずきますよね(笑)。こんなことになってるのか!ってびっくりしちゃって。これに参加できてる幸せを噛み締めてました。

井上:本当、ありがたいなって思います。自分一人でこの世界を目指してたら絶対出会えなかった方々と、乃木坂46にいるからこそ仕事ができているっていうありがたさ。もっと乃木坂の中で頑張りたいっていう意識が強くなりましたし、この方々ともっと仕事ができるくらい強くなりたいって思いました。

伊藤:メンバーが直接お話をする制作スタッフの方って、監督や助監督だけなので、どれだけ大変な準備があったかが見えていないまま参加しているところはやっぱりあって。でも、それだけ手をかけてくれているから、しっかり応えないといけないなと思っていました。だから、MVがすごくいいねって言ってもらえていることは本当に良かったです。

――乃木坂46は映像コンテンツの一つ一つにしても、細やかにこだわっているグループだという印象があります。

井上:乃木坂は個人PVもあってクリエイターさんとの関わり方も密接だし、一つの映像、一つの衣装などがすごく丁寧で手が込んでいるんですよね。女の子からどう見られているかとか、世間の方からどう見られているかまで考えながらやっているんだなって思います。

伊藤:MVも自己満足じゃない感じがいいなって思います。もちろんメンバー全員をちゃんと映すMVもいいのかもしれないんですけど、MVにストーリーがある場合だったら、まずはそれをしっかり物語として見せる方を大事にするところとか。それから、映像にちょっとした仕掛けがあったり。衣装でもステージでもそうやって全部に力を込めてくださるのは愛情だと思うし、ここまでやってくれているのは幸せだなと思います。

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