秦 基博、歌とギターで生み出した奥深く豊かな音楽世界 活動の原点を感じさせたF.A.D YOKOHAMAからの配信ライブレポート

秦 基博、歌とギターで生み出した奥深く豊かな音楽世界 活動の原点を感じさせたF.A.D YOKOHAMAからの配信ライブレポート

 秦 基博が8月27日、弾き語りによる配信ライブ『Hata Motohiro Live at F.A.D YOKOHAMA 2020』を開催した。会場は、秦が18歳のときに初めてステージに立った神奈川・F.A.D YOKOHAMA。シンガーソングライターとしての始まりの場所で秦は、“アコギと歌”というスタイルの奥深さ、豊かさ、そして圧倒的なスケール感をたっぷりと描き出してみせた。

 最初に映し出されたのは、F.A.D YOKOHAMAのエントランススペースに置かれた手書きの看板。扉を開け、会場に入ると、ステージには1本のマイクが立っている。そこに白いTシャツ姿の秦が姿を見せ、アコースティックギターを手にしてコードを鳴らし、〈立ち止まる君の影 大きな雲の影に飲みこまれた〉というフレーズを響かせる。最初の楽曲はデビュー曲「シンクロ」。コードストロークとともに疾走感が生まれ、解放感と切なさに溢れたサビのメロディが聴こえてきた瞬間、早くも大きな感動で包まれる。手持ちのカメラによる映像も臨場感たっぷり。至近距離でライブを観ているような感覚は、配信ならではの醍醐味だ。

 さらに思春期の頃の記憶と“大切な人への思いを抱えたまま生きていきたい”という願いが交差する「フォーエバーソング」を歌い、チューニングをして水を飲んだ後、最初のMC。「今回は配信でのライブ。普段はなかなか横浜に来られない方も含めて、ライブハウス、F.A.Dの雰囲気を存分に味わっていただけたらなと思っています」という言葉を挟んで披露されたのは、「色彩」。1stアルバム『コントラスト』(2007年)の1曲目に収録されているこの曲は、〈その景色の向こうまで行こう〉というラインが印象的なナンバー。メジャーデビューした時期の将来像が刻み込まれた楽曲を、原点であるライブハウスで歌い上げる場面は、このライブの最初のハイライトだったと思う。

 「無観客の配信ライブはほぼ経験がない状態で。画面を通して皆さんが聴いてくださってるのはわかるんですけど、(お客さんがいない)雰囲気はどうかなと思ったんですけど、18才の頃にF.A.Dのステージに立っていたときもほぼ無観客だったので、そういう意味では変わらないかなと」という言葉を挟んで披露されたのは、当時も演奏していたという「恋の奴隷」。〈やわらかで卑猥なあなた〉に対する焦燥感にも似た恋心を歌ったこの曲もまた、秦基博の原点の一つ。独特の視点から描かれる歌詞、生々しさと上品さをバランスよく兼ね備えたメロディ、楽曲に込められた情景、物語、感情を鮮やかに映し出すボーカル。秦のスタイルを構築する要素が、この曲からは確かに感じ取ることができた。

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