SixTONES、『NAVIGATOR』カップリング楽曲解説 ヒップホップの最新トレンドに真っ向から挑戦

「love u…」(通常盤)

 試聴音源の公開当初より、JP THE WAVY「Just A Lil Bit (Feat. Sik-K)」に類似したメロウなサウンドが、一部ファンの間で話題になっていたこの曲。JP THE WAVYは、「Cho Wavy De Gomenne」などを代表曲に持ち、ダンサーとしても活動する神奈川・藤沢出身の新進気鋭のラッパーだ。また「love u…」で作詞・作編曲を担当したTOMOKO IDAとTSUGUMIは、どちらもTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEへの楽曲提供経験がある“ヒップホップ畑”の人物。最新トレンドのヒップホップに真っ向から挑戦しようとするSixTONESの気概が、クレジットを見ただけでひしひしと伝わってきて仕方がない。

 実際に同曲には「Just A Lil Bit」との様々な共通点が見られる。楽曲全体として冬をイメージさせるような、ミドルテンポのピアノのメロディを基調としており、雪の煌めきを表現したようなメロウなトラックの上で、メンバーは語尾をゆるく伸ばすスローランなフロウを披露。ほかにも、イントロのアドリブにラジオテイストのエフェクトが用いられていることも、両曲が似ていると感じられる所以なのだろう。

 しかしながら、SixTONESとJP THE WAVYのアーティストカラーの違いは、譜面の進行に伴って徐々に色濃くなっていく。「love u…」に流れるまったりとしたムードは、歌唱につれて増していくほか、複数メンバーから成るユニットの強みを活かしたコーラスなど、あくまでこの曲を“歌モノ”として成立させている。そもそも、こういったメロウなトラックは、まさにK-HIPHOPの王道といえるサウンドで、大切なのはその使い方だ。SixTONESが想いを寄せる人に対して、我々リスナーが安心しきり、思わず極上のまどろみを誘われそうになるほど、優しい愛の言葉を代わる代わるに伝える表現は、彼らだからこそ歌い上げられるものに他ならない。

 少しざっくばらんな言い方だが、SixTONESは“バランス感”に優れたユニットといえる。この場合のバランス感とは、平均台を歩くような平衡感覚ではなく、綱渡りのように攻めに攻めたトラックに乗って、絶妙かつ最高な作品に仕上げてくる高い能力を指したものだ。彼らがシングル『NAVIGATOR』を経て、どのように次のハードルを乗り越えてくるのか。今から気が早いが、3枚目となるシングルを明日にでも聴きたくてたまらない。

◼︎一条皓太
出版社に勤務する週末フリーライター。ポテンシャルと経歴だけは東京でも選ばれしシティボーイ。声優さんの楽曲とヒップホップが好きです。Twitter:@kota_ichijo

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