『ukka 1st streaming live 2020』
ukka、実力見せつけた配信ライブ 全20曲で伝えたパフォーマンスのレベルの高さ
2020年7月23日、ukkaの配信ライブ『ukka 1st streaming live 2020』が開催された。これは、同日に予定されていた『ukka NEXT STAGE TOUR 2020 in 横浜ベイホール』の中止を受けて行われたものだ。本来なら全国ツアー『ukka NEXT STAGE TOUR 2020』の振替初日公演のはずだっただけに、『ukka 1st streaming live 2020』は事前の段階から「新曲全て含む全20曲のライブ」とアナウンスされるほど力が入っていた。
オープニングでは、初公開となる壮大なオーバーチュアが流された。そして、ステージに水春、茜空、桜井美里、川瀬あやめ、村星りじゅ、芹澤もあが登場。ツアー中止のリベンジ戦は、「灼熱とアイスクリーム」で幕を開けた。
この段階で早くも感じたのは、ukkaのボーカルの力量の高さだ。声量、音程、情感の表現、さらにタイム感。ライブ配信は、ファンの歓声がないぶん、アーティストの実力が露わになることが多いが、ukkaの場合は実力をまざまざと見せつけた。さらに、ダンスを含めたパフォーマンスでも、無観客であることを忘れさせるほど映像に引きこんだ。
続いて「Magik Melody」「わたしロマンス」へ。矢野博康作曲による後者は、メロディの歌謡曲性とサウンドのラテンの要素が、ukkaのボーカルの艶やかさを引きだしていた。
そして、「桜エビ〜ず」から「ukka」に改名して初のシングルとなる『恋、いちばんめ』の新曲群も初披露された。竹内サティフォ作詞、ONIGAWARA作編曲による「ウノ-ウノ」は、ジェームス・ブラウンのマナーを踏襲したファンクをベースにしている。そうした楽曲に対して、ukkaはサークルを多用するフォーメーションで踊り、カードゲームを連想させるような動きを取りいれた振りつけもキュートだった。
スカナンバーの「まわるまわるまわる」、ベースラインの動きも魅惑的な「タリルリラ」、メンバーも汗ばむなかでの「エビ・バディ・ワナ・ビー」と続き、再び『恋、いちばんめ』のカップリング曲の初披露へ。CLARABELLの作詞作曲編曲による「Poppin’love!!!」は、フューチャーハウスなサウンド。〈可愛いだけの女の子はもう卒業よ〉と、かわいらしいukkaが歌う意外性も、ライブで見るとより顕著なものになっていた。
sasakure.UKの作詞作曲編曲による傑作「214」では、飛び交うレーザーがukkaを包んだ。ボーカロイド畑の出身であるsasakure.UKが提供した「214」は、楽曲の構造も複雑で、単純なアイドルポップスではない「ねじれ」がukkaの魅力を引きだしている。ラップパートのある「グラジェネ」から、同じくラップの「can’t go back summer」へ。後者は、すでにライブで歌われていたが、『恋、いちばんめ』のカップリング曲としてCD化された。この日の東京は、外出自粛要請も出た憂鬱な梅雨空だったが、夏の夕暮れを描く「can’t go back summer」を聴きながら、ふと野外フェスでこの楽曲を聴ける日を夢想してしまった。
「ねぇ、ローファー。」では、〈まだ大人ではないのです〉と、彼女たちの世代ならではの揺れる心をじっくりと歌いあげた。アカシックだった理姫が作詞、奥脇達也が作曲した「おねがいよ」では、より大人っぽい雰囲気に。そして「キラキラ」では、茜空のソロでの熱唱に胸打たれた。
杉浦英治が作詞、藤田卓也が作曲をしている「時間。光り輝く螺旋の球。」も、『恋、いちばんめ』の収録曲。テクノをベースにしたトラックに、強い身体性を加えたパフォーマンスを展開した。その振りつけは水春によるものだという。
そして、本編最後で披露されたのが「恋、いちばんめ」だった。MICOとヤマモトショウが作詞、ヤマモトショウが作曲、宮野弦士が編曲。ukkaによる生のハモりも見事で、ソウルミュージック色の濃い「恋、いちばんめ」からは、1970年代のモータウン感が溢れていた。