「K-INDIEチャート」日本版スタートを機に探る、韓国インディーシーンの今「レトロサウンドをどう現代的な感覚で実現できるか」

 韓国インディアーティストに特化した音楽チャート「K-INDIEチャート」日本版の配信がスタートしている。同チャートは韓国最大手インディ・ディストリビューターである<Mirrorball Music>によるもので、日本では韓国の実力派アーティストを紹介するレーベル<Bside>が公式ライセンスを結び、WEBメディア「BUZZY ROOTS」とコラボして、最新チャートを公開中だ。そこで<Mirrorball Music>のイ・チャンヒ氏と<Bside>のキム・ソニ氏にインタビューを行い、「K-INDIEチャート」スタートの経緯から、SE SO NEONやHYUKOHといったアーティストが賑わせてきた韓国インディーシーンの現在についてまでじっくりと聞いた。(編集部)

「K-INDIE CHART」韓国での存在感

ーーまずはお二人が音楽業界に携わることになったきっかけを教えてください。

イ・チャンヒ

イ・チャンヒ:私がこの業界に入ったのは1998年です。元々ミュージシャン志望でバンドのボーカルをやっていました。メンバーの中にはプロデビューした人もいたのですが、僕は自分が音楽をやるよりは、サポートをしようということで方向転換して、ウンジンメディアという韓国の音楽流通会社に入って、アルバムの投資や流通などの仕事をし始めました。そのあとは、韓国のCJ ENMという、Mnetなどを持っている大きい会社で仕事をして、2009年1月に「Mirrorball Music」を設立して、インディー音楽の制作や配給、流通やライブの企画を始めて、10年間着々と仕事をし、韓国インディー音楽の中ではナンバーワンの会社として定着したという流れです。

――「Mirrorball Music」を立ち上げたきっかけは?

イ・チャンヒ:元々自分でバンドをやったり、バンド音楽やロックが好きで、韓国のライブハウスやクラブが沢山集まっている弘大(ホンデ)という日本の下北沢や渋谷のようなエリアに行って、そこにいる人たちと交流しながら、自然とインディー音楽が好きになっていきました。インディー音楽はメジャーに比べたら利益率が低いので、大きい会社ではそこまで興味がなかったんです。だから、インディー音楽に集中できるような会社を作ろうと決心しました。

Mirrorball Music

――なるほど。ソニさんはどうですか?

キム・ソニ:2002年の日韓ワールドカップのときに、<Being Music Korea>という、日本のビーイングの韓国支社が出来たんですね。私は日本の音楽も好きだったので、レーベルマネージャーとして初めてこの業界に入って、そこでB’zやZARDのリリースの準備をしました。でも、ワールドカップのあとも韓国では日本のアルバムをそのまま日本語で発売できない状況で。そのあと転職してKBSという日本のNHKのような放送局の子会社の音楽部門に入社しました。そこで空前の韓流ブームから、サントラの制作や『冬のソナタ』の番宣担当になったり……その後韓国の会社の日本支社に転職することになって、2007年に日本に来たんです。そこでは日本のアーティストの音楽を韓国でライセンスしていたんですけど、韓国では海外アーティストのマーケットが非常に少なかったので苦戦していました。2013年に今のKakaoM、当時のLOENエンターテインメントが日本支社を作るということで日本オフィスでIUやHISTORYの展開をしました。そんな中、社内で<文化人>というレーベルが立ち上がったので、OOHYO(ウヒョ)などインディーアーティストの日本展開もサポートや制作をしながら、日本支社の設立を一緒に準備していました。残念ながら設立には至らなかったのですが、そのあと<TOY’S FACTORY>でインターナショナル部門のヘッドとして、RUANNなどを担当していました。

 私も元々ロックやインディー音楽などサブカルが好きで。KakaoMは資金力がある会社だったので、K-POPアイドル以外のジャンルも紹介しようとアピールしたんですけど、中々難しかったんですね。<文化人>で一部の仕事を手伝うことはできたんですけど、やっぱり自分でレーベルを立ち上げたいというのはこの業界に入ってから長年の夢だったので。ようやく昨年自分のレーベル<Bside>を立ち上げて、インディーアーティストを積極的に紹介することができるようになりました。

――お二人の出会いと、K-INDIE CHARTがスタートするまでの経緯も教えてください。

キム・ソニ

キム・ソニ:韓国の仲良くしているインディーミュージシャンの紹介で出会って、みんな仲が良かったので自然と交流が深まりました。それでチャンヒさんが2011年にK-INDIE CHARTをスタートしたんですけど、その前から私も韓国のインディーアーティストを紹介したいという気持ちがあって。チャンヒさんも韓国のインディーアーティストを世界に発信できればなという思いはずっとあったので、それで意気投合して。二人で5年前から準備はしていたんですよね。実際にどういう形で紹介するかなど相談しながら、やっと今実現できた感じですね。

――チャートの仕組みはどうなっているんでしょうか。

イ・チャンヒ:K-INDIE CHARTは、インディーアーティストのアルバムの販売チャートです。CD、LPなどの販売チャートで、韓国でCDの販売を主にやっているオンラインストアと、数は少なくなりましたがオフラインのレコードショップの売り上げを各店舗からもらって、Mirrorball Musicが2週間に1回、まとめて集計をしたものがチャートになっています。最近はデジタルストリーミングやダウンロードなどのデータがもっと重要になってきたので、そのデータも早いうちに一緒に集計できるようにと考えております。

――今後は全部合算したランキングになっていく予定もあるということですね。

イ・チャンヒ:そうですね、合算するかバラバラにするか、まだ具体的には決まってはいないのですが、ストリーミングのトレンドも反映する予定があります。

――チャートを始めてから、リスナーやアーティストからはどんな反応がありますか?

イ・チャンヒ:このチャートを作った理由の一つとして、まだ一般的に知られていない良い音楽を紹介したいという思いがあって。だから、アーティストは当時大歓迎してくれました。KBSのラジオ番組では定期的にこのチャートを紹介してくれたり、メディアからも関心が高まっていて、当初はムック本にして紙の印刷物として放送局に配布していました。そんなふうに最初はミュージシャンや業界で興味が高まっていきました。アーティスト自身が宣伝してくれるので、そこからリスナーやファンに広まって、どんどん重要なチャートだという認識になっているようです。

――元々ソニさんも日本に広めたいという思いがあったということでしたが、具体的に今回日本進出に至った経緯は?

Bside

キム・ソニ:<Bside>で、韓国インディー音楽を紹介するために日本版「K-INDIE CHART」を作りたい、という考えにMirrorball Musicさんも賛同してくださって、お互いにモチベーションが高まりました。実は5年前から一緒にやりたいという話はずっとしていたんですけど、タイミングがなかなか合わなかったんですね。というのも、データのアーカイブが蓄積されて、翻訳して出すという作業があるのですが、私はネイティブではないので、日本語の確認作業が必要だった。それを一緒にできるクルーをずっと募集してきて。今は自分でレーベルも立ち上げて、「BUZZY ROOTS」というKインディー専門メディアのスタッフも<Bside>クルーとして一緒に翻訳作業をしてくれたり、韓国サイドでMirrorball Musicさんのデータを収集して定期的にアップデートしてくれるスタッフもいて、やっと日本で展開できることになりました。

K-INDIE CHART 10 JP Vol.175 | Bside

――良い人に巡り合えて実現できたんですね。

キム・ソニ:そうなんですよ。いい出会いに本当に感謝しています。ちょうど最近SE SO NEONやHYUKOHらの人気もあって、K-POP以外の音楽に興味を持ったり、好む人が増えてきたのも非常にいいタイミングだなと思いました。むしろ5年早められなくて良かったのかもしれません(笑)。

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