Aqoursが楽曲と共に成長してきた5年 9人の“これまで”と“これから”を2020年の視点で考える

 ここで紹介したいのが、7月22日発売の新シングル曲「Fantastic Departure!」である。同楽曲の冒頭では、〈街を抜けたら青い海が見えてくるともう君は知ってるね あぁ知ってる〉と聞き手に問いかけながら、その後には〈いつだってここからだった 僕らの旅の始まり/ また何か見つけたいよ 夢を口ずさんでみよう〉と歌うなど、まさに先ほどと同じく“0から1”を生んだ後、“1の先”にある未来を見据えるような歌詞が刻まれている。同時に、彼女たちは“1からその先へ”と進みながら、そこでまた新たなスタート地点(=0)を定めて次なる旅へと出航することで、誰も見たことのない景色さえ我々に予感させてくれるのだ。

【試聴動画】『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 6th LoveLive! DOME TOUR 2020』テーマソングCD「Fantastic Departure!」

 ここまでを振り返るに、彼女たちが“1”の先にある未来を掴んだことで、前述した「想いよひとつになれ」や代表曲のひとつ「青空Jumping Heart」といった各楽曲に対して、それまで以上に特別な感情を抱くようになったのだと思われる。「Fantastic Departure!」は、そんな夢の途中から見た景色への気付きを与えてくれた、5周年というターニングポイントを飾るに相応しい楽曲だ。

 もちろん、本稿でピックアップした以外の楽曲でも、発表当時とは違った、ユニットとしての成長や文脈が織りなす感動を噛み締められるはずだ。Aqoursの目指す未来へと共に船旅を進めながら、楽曲の意味が進化する様子を見守れることが、今、この上なく幸せである。

◼︎一条皓太
出版社に勤務する週末フリーライター。ポテンシャルと経歴だけは東京でも選ばれしシティボーイ。声優さんの楽曲とヒップホップが好きです。Twitter:@kota_ichijo

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