NiziU、「Make you happy」JYP先輩グループへの目配せとオリジナリティ それぞれの個性が表れた歌声も必聴
ソニーミュージックとJYPエンターテインメントが日韓合同プロジェクトとして主催したオーディション番組『Nizi Project』が6月26日に最終回を迎え、新ガールズグループ・NiziUが誕生した。
本プロジェクトはWonder Girls、miss A、TWICE、そしてITZYと人気K-POPガールズグループをスターダムへ導いたプロデューサーJ.Y.Parkことパク・ジニョン氏が日本を拠点としたガールズグループを結成する趣旨の内容であったが、東京と韓国で行われたオーディション合宿の模様は1月よりHuluで配信されていたほか、特別番組『虹のかけ橋』や『スッキリ!』(共に日本テレビ系)といった地上波でも密着されていただけに、K-POPやオーディション番組フォロワー以外の人々にも周知されたことで、デビュー前よりこれまでにない幅広い層からの注目を集めている。
プロデューサーとして、そして現役アーティストとして活躍するパク・ジニョン氏自らが参加者に指導しメソッドを伝えるオーディション内容からも、これまで見てきた日本のオーディション番組にはない新鮮な要素が数多く目についただけでなく、デビューメンバー決定後も、秋に予定された本デビューに先駆けるプレデビューアルバムと表題曲のMVがグループ誕生まもなくしてリリースされており、その息もつかせぬスピード感もまさに“K-POPらしさ”が表れていると言えよう。
6月30日にリリースされたNiziUのプレデビューアルバム『Make you happy』の表題曲は、TWICEの生みの親であるパク・ジニョン氏自らが手がけているだけに、これまでTWICEがリリースしてきた過去楽曲とのリンクが見受けられながらも、そこにはしっかりとNiziUならではの要素も感じられる。
トラックは、イントロから続く飛び跳ねるようなリズムの上にカラフルなシンセがシンプルに乗ることでJ-POPシーンと親和性の高い仕上がりとなっており、また〈I just wanna make you happy あ~もう!笑ってほしい〉〈忘れちゃった笑顔も大丈夫ちゃんと取り戻して〉と聴く者を応援する歌詞が織り込まれているあたりは、TWICEの「One More Time」や「BRAND NEW GIRL」などが持つチアフルなメッセージに通じる印象を与える。
同事務所の先人たちへの目配せは、「Tell me」「So Hot」(Wonder Girls)、「Good-bye Baby」(miss A)、「Like OOH-AHH」「FANCY」(TWICE)、「ICY」(ITZY)といった先輩グループの楽曲タイトルが歌詞内に散りばめられている点からも意識的に感じられ、またMVもTWICE「LIKEY」や「MORE & MORE」のオマージュとも受け取られるような描写が見られるとともに、パク・ジニョン氏による印象的なカメオ出演もWonder Girls「Nobody」やTWICE「KNOCK KNOCK」などから受け継がれているものだ。
しかしこれらはただJYPガールズグループの系譜を並べて見せるだけでなく、K-POPガールズグループの存在をきっかけに夢の道を歩き始めたNiziUメンバーたちのバックグラウンド、そして先輩グループの楽曲を日々練習し、オーディションで披露したことによりデビューの切符を掴んだその軌跡が表れているものと捉えられる。