欅坂46 小林由依、知れば知るほどハマる魅力 観る者を惹きつける演技力、多趣味な一面から考える

平手友梨奈との比較

 グループの楽曲では前列に選ばれることが多く、2018年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)では平手友梨奈に代わりセンターにも立っている。重要なポジションを任されることが多いため、次期センターとも噂されるメンバーのひとりだ。平手と自分自身の違いについて、彼女は以下のように語っている。

「平手は『不協和音』だったら『不協和音』の世界に入り込んで、そこから出られなくなっちゃうわけじゃないですか。でも、そこまでそこに入れるっていうのはすごいことだと思うんです。私はたぶん一歩手前までしか行けてない。だから笑顔の曲とかも全部対応できるという部分もあるけど、それだと軽く見えちゃうのかなって思ったりもして……」(『BRODY 2018 FEBRUARY』より)

 平手のことを理解しつつ、自分自身の強みと弱みを鋭く分析している。”軽く見えちゃう”というのは、器用さゆえの避けられない部分だろう。

 彼女はこれまでも「サイレントマジョリティー」のようなメッセージ性の強い楽曲から、「風に吹かれても」のような笑顔で踊る曲まで、多くの楽曲で代理センターを務めてきた。さまざまな楽曲に馴染めるその柔軟な魅力は、彼女の高い演技力があってこその賜物だ。

 冒頭で触れたように、彼女のキャラクター性には表面的なキャッチーさはないかもしれない。そもそも“イメージの人”とも思えない。ある特定のイメージを持たないことで、臨機応変な魅力を獲得している。いわば、したたかな実力派。見せかけではない確かな力でグループを牽引してほしい。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる