Stray Kids、日本初シングル『TOP -Japanese ver.-』が大差で首位に グローバルマーケットに通用する優れた歌唱スキル

Stray Kids『TOP -Japanese ver.-』

 一時は週間シングルランキング1位でも1万枚未満(とはいえコロナ禍でそんなにCDが売れている国は日本だけではないかと思いますが)になっていたチャートも、緊急事態宣言が全国的に解除され、数字が回復傾向に。6月15日付のオリコン週間シングルランキングで1位を獲得したのは、韓国の8人組ボーイズグループであるStray Kidsの『TOP -Japanese ver.-』でした。CD4形態のほか、2020本限定でカセットテープも発売されており、その売り上げもチャートに含まれているはずです。

 Stray Kidsは、2017年に韓国のサバイバルリアリティ番組『Stray Kids』を通じて選抜され、TWICEなどを擁するJYPエンターテインメントに所属したグループ。2018年に韓国で初音源をリリースし、2019年にはワールドツアーを開催、日本公演も成功させています。

 メンバー自ら作詞、作曲、プロデュースを手がけているStray Kidsの「TOP -Japanese ver.-」では、特に冒頭の日本語によるラップの聴きとりやすさに驚きました。海外の言語でラップをして、しかも聴きとれるレベルに到達させる難易度はかなりのものでしょう。また、メンバーごとに異なる声質をうまく使いわけているボーカルにも耳を引かれました。ダンストラックでありつつも、歌をしっかりと聴かせる構造を備えています。

 カップリングの「SLUMP -Japanese ver.-」は、よりメランコリック。ハイトーンのボーカルとラップが入り混じる楽曲です。

Stray Kids 『SLUMP -Japanese ver.-』Music Video(TVアニメ「神之塔 -Tower of God-」ver.)

 この「TOP」「SLUMP」は、韓国語、英語、日本語のバージョンが存在するので聴き比べてみたのですが、聴きとりやすさ、声質の使い分けのうまさは、どのバージョンにも共通しています。

 執筆時点で280万回以上再生されている「TOP -Japanese ver.-」のMVは、メンバーのダンスパフォーマンスや表情にフォーカスをあてた映像。視覚でもStray Kidsの魅力を伝えます。

 楽曲もMVも、ともに英語圏や日本などのグローバルなマーケットを強く意識している仕上がり。実は「TOP -Japanese ver.-」が日本でのまだ最初のシングルであるStray Kidsの今後の攻勢が楽しみです。

Stray Kids 『TOP -Japanese ver.-』Music Video

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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