デジタルシングル「THIS IS NOT A SONG, 1929」インタビュー
Jun. Kが語る、新曲「THIS IS NOT A SONG, 1929」とファンへのメッセージ 「何よりも愛の大切さに改めて気づくことができた」
Jun. K (From 2PM)が、デジタルシングル「THIS IS NOT A SONG, 1929」を6月10日に各音楽配信サイトにてリリースする。今年1月に兵役を終え、除隊後初となる新曲。作詞・作曲は、もちろんJun. K本人が手がける。
まるで、長らく離れていた恋人が再会するように。この曲は、Jun. Kと彼の再始動を待ちわびていたファンとの愛の歌に聞こえる。愛しさと、感謝と、覚悟と……その想いが強ければ強いほど、どんな言葉でも足りないもどかしさを感じるものだ。
2PMとして見せる力強いダンスミュージックとはまた異なる、Jun. Kの繊細さが際立つ柔らかな印象の本作。手探りで語りかけるようなゆったりとしたAメロ。そして、〈This is not a song. 〉と一気に突き抜けるサビ。感情のうねりを感じさせるドラマチックなメロディを、Jun. Kが豊かな声量で丁寧に歌い上げていく。
そして、こんなに素晴らしい歌でありながら「これは歌ではない」とは、どういうことなのか。そんなふうに知的好奇心をくすぐられるのも、この作品の大きな魅力だ。
耳から心へと染み渡る美しい贈り物をくれたJun. Kに、この作品が生まれた背景を、そして今もなお会えない状況が続くファンへのメッセージを語ってもらった。(佐藤結衣)
ある絵画にインスピレーションを受けて……
――除隊後初となる新曲のリリース、そして日本での再始動となりますが今のお気持ちを聞かせてください。
Jun. K:うれしい反面ツアーが中止になったり、ミニアルバムの発売が延期になったのはとても残念でした。軍隊にいたころからずっと考えていましたし、除隊してすぐに準備も頑張っていたので。でも、デジタルシングルという形で届けることができて、とても感謝しています。
――「THIS IS NOT A SONG, 1929」というタイトルは、どのような想いが込められているのでしょうか?
Jun. K:ルネ・マグリットの絵画「イメージの裏切り」(1929年)という作品を見て、インスピレーションを受けました。この作品はパイプと一緒に「これはパイプではない(Ceci n’est pas une pipe.)」という文字も描かれているんです。絵画はパイプのイメージを伝えるものだけれど、パイプそのものではない。それと同じように「これは歌ではない」という曲を作ろうと思ったんです。そして、インスピレーションを与えてくれた作品が誕生した年を楽曲タイトルの後ろにつけました。
――ジャケットもまるで絵画のようなデザインですね。月夜を散歩するようなゆったりとした雰囲気が、メロディとリンクしているように思いました。
Jun. K:いくつか候補があったなかで、このデザインに決めました。満月の上にいる僕の姿と、その上に三日月が浮かんでいる様子が抽象的に表現されていると思います。満月の上で、三日月がまた満月になるために歩き続けているのかな? そんなイメージが気に入っています。
――イントロで流れるクリスタルを叩いたような音や、Aメロの背景にあるポッポッという音など、アクセントとなる音が印象的ですが、音作りでこだわられた点はありますか?
Jun. K:注目していただき、ありがとうございます。コードはある意味簡単な進行なのですが、部分的に変化させていくところは心血を注いだ部分でした。サウンド的には、ボイストーンと一番似合う方向へ編曲しています。
どんな言葉でも音楽でも表現できない気持ち
――気持ちよく突き抜けるサビの高音、〈この想い〉の部分で響く美しいファルセットなど、多彩な歌声にもうっとりしました。唱法で心がけたことはありますか?
Jun. K:ありがとうございます! 歌い方は大きく変えたとは言えませんが、できるだけ淡白に歌おうと努力をたくさんしました。
――歌詞についても、選びぬいた言葉をじっくりと語りかけるようなイメージが広がりました。この歌詞は、すぐに出来上がったのでしょうか?
Jun. K:思ったよりすぐに完成しました。テーマがハッキリしていると歌詞は早く書くことができます。でも、テーマが明確に僕の頭の中に広がるまで時間がかかるタイプですね。振り返ってみると、今回の作品作りで大切だったのは「空白の時間」だったと思います。空白の時間の中で、考えてメモしておいたものを取り入れてみました。
――歌詞の中で〈うまく言い切れない〉とありますが、あえて〈This is my heart〉を言葉にするなら?
Jun. K:とてもありがたいし、愛しているし、愛を感じているし、その愛に対して愛をあげたいのに、言葉でも音楽でもすべて表現できない……やっぱりこの気持ちは表現できないです!
――MVは、どのように撮影されたのでしょうか?
Jun. K:ミュージックビデオでも、ジャケットのアートワークと同じく月をテーマにしています。月は僕にとって特別な存在なのですが、大切なファンのみなさんをそんな月に重ね合わせて、ぼくの思いが届いて、月が満月になっていくイメージを表現してみました。撮影時間が思ったよりも長くかかりましたが、みんな頑張ってくれました。本当に感謝しています。それと、テギョンさんがケーキを買って応援に来てくれました。それもありがたかったですね。2PMとの時間が今はとても懐かしいです。団結してスケジュールをこなして、コンサートをして、ファンのみなさんに会う……大変だったけど、幸せだったあの時間が恋しいです。