TWICE、ワールドツアーは活躍の舞台拡げる夢の機会に 過酷な環境下における健康状態への警鐘も

 Ep 5.にてプロデューサーのパク・ジニョン(J.Y.Park)は「パフォーマンスをダメにする方法はたくさんあります、怖いでしょうが。練習を繰り返すことで自信をつけるんです。(それが)自信をもってステージに臨む唯一の方法です」と語っていた。

 しかし練習はおろか睡眠時間の確保が厳しくなるまで極まった多忙の中では、寄せられる期待が喜びと共に大きなプレッシャーとなって、彼女たちを襲ってしまうこともあるのではないだろうか。もちろんこれは断片的な情報を基にした、勝手な邪推にすぎない。

 しかし本番直前に体調不良を訴えるダヒョンが、それでも精一杯の笑顔で「ベストを尽くします。ファンの皆が会場で待っているから」というコメントを残しステージに上がる光景と、Ep 1.内においてパク・ジニョンが語った「(今回の)ツアーのコンセプトは“健康”です」という言葉の間には、どうしても否定しがたい矛盾が横たわっているような気がしてならなかった。

 「サイレン」というタイトル通り、過酷な環境における彼女たちの健康状態に警鐘を鳴らす内容となったEp 6.は、ダヒョンによるこんな言葉で締め括られてしまう。

「ワールドツアーの途中から8人で公演を続けることになりました」

 ツアー中の昨年7月、ミナが治療に専念するため休養に入ることとなったのだ(8月に不安障害と診断)。続くEp 7.では、これ以上ない深刻な状況下で彼女たちが抱えていた思いが語られる。

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■菅原 史稀
編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。Twitter

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