Uru、井上苑子、門脇更紗……カバー動画で認知を広げたシンガーソングライターの才能の行方

 新型コロナウイルスの感染拡大防止の影響でライブ活動の自粛を余儀なくされたアーティストたちによるカバー動画が大きな注目を集めている。

 米津玄師「Lemon」から始まり、あいみょん、LiSA、Official髭男dism、King Gnuを経てどぶろっく「もしかしてだけど」にまで拡大していった広瀬香美の「歌ってみた」シリーズはテレビで取り上げられるほどの人気コンテンツとなった。他にも、ツアーの延期を受け、「改めて歌を通してみんなと繋がれたら」という思いでZARD「負けないで」をカバーした藍井エイルや、「今、自分たちにできることはなんだろう?」と考えた末にエレファントカシマシ「四月の風」のカバーに至り、「今を踏ん張ろう、明日を頑張ろう、という想いを込めて歌わせていただきました」という山本彩など。セルフカバーも含めて、数多くのアーティストが“おうち時間”を楽しませてくれたが、これら最小の編成によるカバー動画は、原曲の良さもさることながら、それぞれのアーティストのボーカリストとしての才能が存分に味わえることに喜びを感じた。

 今でこそJ-POPのカバー動画は当たり前となっているが、2010年代初頭はまだ数はとても少なかったように思う。当時は、ボカロのヒット曲を自分の声で歌う“歌ってみた”をニコニコ動画に投稿することが主流で、YouTubeでは、2012年にGILLEがAKB48「フライングゲット」を英語歌詞でカバー。シルエットのみの動画公開からわずか1カ月足らずで250万回再生を突破し、素性を明かさないまま、謎の新人としてデビューを果たした。続いて、2013年末にMACOが日本語でカバーしたテイラー・スウィフト「私たちは絶対にヨリを戻したりしない(We Are Never Ever Getting Back Together)」が話題となり、600万回以上の再生回数を記録。この洋楽カバーを契機に2014年7月にメジャーデビューし、YouTubeが展開する「好きなことで、生きていく」キャンペーンにも抜擢された。

 そして、時期を同じくして、2013年にYouTubeチャンネルを立ち上げたのが、Uruだ。素顔をほとんど見せないモノトーンに統一された映像で、J-POPを中心に様々なジャンルの楽曲をカバー。聴き手を包み込むような優しくも切ない歌声と神秘的な佇まいが徐々に注目を集め、デビュー前に100本に及ぶカバー動画をアップし、総再生回数は4500万回を突破(2016年当時。現在は1億2千万回を超えている)。「J-POPをカバーするYouTuber」のパイオニア的存在である彼女はネットを介して口コミで広がり、多数のファンを獲得。2014年11月には俳優の小日向文世がNHK『アサイチ』でスピッツ「楓」のカバーを紹介すると、デビュー前から各局からオファーが殺到。松任谷由実「卒業写真」や中島みゆき「糸」のカバーを披露し、2016年6月にYouTubeをきっかけに知り合った作曲者とのメッセージのやり取りで生まれたオリジナル曲「星の中の君」でデビュー。その後の活躍はご存知の通りだろうが、2020年5月10日には、デビュー前に活動のベースとしていたUru自身のスタジオにて、ピアノとアコースティックギターのアレンジバージョンで、ドラマ『テセウスの船』の主題歌「あなたがいることで」のセルフカバー動画を公開している。

【Official】Uru 「あなたがいることで Self-cover ver.」

 また、2015年には、当時、17歳だった井上苑子が動画配信サービス「ツイキャス」にてリアルタイムでリクエストに応え、即興でアコギの弾き語りによるカバーやオリジナル曲を披露する放送が多くの反響を呼んだ。YUI「タイヨウのうた」やbacknumber「花束」などを歌い、ツイキャス視聴者が200万人を突破。1時間に4万人の視聴者を誇り、同年にミニアルバム『#17』でメジャーデビューを果たしている。

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