島爺×VACONが語る、コラボ曲「虚仮の一念」に表れた“信念”「何かを成すためには病的なほどの熱量がいる」

島爺×VACONが語る、コラボ曲「虚仮の一念」に表れた“信念”「何かを成すためには病的なほどの熱量がいる」

 島爺が、最新ミニアルバム『挙句ノ果』を6月3日にリリースした。同作は、初めて全曲の作詞・作曲を島爺が手掛ける意欲作となっている。

 収録曲の中でも特に注目を集めるのが、ニコニコ動画などで活躍するラッパー・VACONとのコラボ曲「虚仮の一念 feat. VACON」。VACONの処女作「HATED JOHN」を聴いて衝撃を受けた島爺が同曲をカバー。VACONも島爺のカバーに感動し、その縁が今作でのコラボに繋がったのだという。

 リアルサウンドでは、島爺とVACONのリモート対談を企画。「HATED JOHN」カバーからコラボに至った経緯、お互いのアーティストとしての魅力まで、歌い手/クリエイターとしての相思相愛な関係性や両者に共通する音楽に対する情熱が垣間見える内容となった。(編集部)

「『HATED JOHN』カバーはターニングポイント」(島爺)

HATED JOHN うたった【SymaG】

ーーファンにとって待望のコラボレーションになりました。まず、お二人がお互いを知ったきっかけから、あらためて聞かせてください。

島爺:歌い手のでにろう(GGGN /VACON氏も参加していたHIPHOP集団「StudioLama」主宰)さんが、ニコニコ生放送でVACONさんの「HATED JOHN」(2012年発表の処女作)を紹介していて、それをたまたま聴いたのが最初ですね。あまりにパワフルな楽曲で、衝撃を受けたのをいまも覚えています。

VACON:本当にでにろうが架け橋というか。僕は島爺さんが「HATED JOHN」についてツイートしてくださっているのを拝見して、そのまま島爺さんが歌っている「ラットが死んだ」(P.I.N.A.)という曲を聴いたんです。そこで、曲の掴み方や歌い方などの表現に、“生き別れの兄弟なんじゃないか”というくらい親近感を持って(笑)。そこから他の曲も色々聴かせていただいたのですが、どの曲も繊細に歌い分けているし、歌を追求される芸術家タイプの方なのかな、と思いました。

ーーそうしてお互いが惹かれ合うなかで、のちにアルバム『冥土ノ土産』にも収録された、島爺さんによる「HATED JOHN」のカバーが公開されました。高速で個性的なフロウが特徴的で、非常に難易度の高い楽曲だと思いますが、カバーするに至った経緯とは?

島爺:「HATED JOHN」を知ってから、TwitterなどでVACONさんの動向をチェックはしていたのですが、当時、ある事情で音楽活動を休止されていて、もしかしたらこのままフェードアウトしてしまうかもしれない、何らかのアクションを起こさなければ、と思いまして。そこで、まずはVACONさんの楽曲を聴いていることを伝えて、「好きすぎて自分でも歌ってみました」と、音源データをお送りすることにしたんです。そしたら喜んでいただけて、せっかくだから動画でもあげていいですか、と。

ーー動画化が前提ではなく、いわばVACONさんの音楽活動を応援するためのラブレターだったと。VACONさんは、島爺さんからの連絡を受けて、どんな心境でしたか?

VACON:本当にうれしかったです。「HATED JOHN」は僕が初めて投稿した楽曲だったので、不安も大きかったんですけど、島爺さんが完成度が高い上に、熱のこもった歌で表現してくださって。どれだけ聴き込んでくれたのか、どれほど楽しんでくださったのか。そういう楽曲への愛を感じました。こんなに嬉しいと思ったのは初めてでしたね。

ーーあらためて、島爺さんにとって「HATED JOHN」の歌唱はどんな経験になりましたか?

島爺:「HATED JOHN」を歌う以前と以降で、実は歌い手として大きな変化があって、僕にとってもターニングポイントになったんです。この曲で、単純に歌詞を言葉として歌うだけでなく、母音と子音に至る全ての音に意味があることを気づかせてくれたというか。もともとボーカロイド曲を歌うことで技術的な訓練も積んでいたんですけど、「HATED JOHN」を歌ったことによって、歌の解像度をより高めることを意識し始めたんです。

VACON:僕もからしても、島爺さんに歌っていただいたおかげで、ニコニコ動画でのフォロワーもすごく増えましたし、今繋がっている人のほとんどが島爺さんのカバーをきっかけに知ってくださった方々なんです。冗談抜きで島爺さんが色んな出会いをもたらしてくれたので、本当に感謝しています。

「絶対にいつか島爺さんとコラボしたいと思っていた」(VACON)

虚仮の一念 feat. VACON つくってうたった【島爺】

ーーそういう経緯があって、島爺さんにとって初となるオリジナルアルバムに、二人の共作となる「虚仮の一念」が収録されました。高速の掛け合いラップが魅力的で、抜群の相性のよさを感じますが、島爺さんのなかで、ずっとVACONさんとのコラボの構想はあったのでしょうか?

島爺:そうですね。これまで3枚アルバムは出させていただいているんですけど、VACONさんとのコラボのアイデアは何度も出ていました。ただその都度、コンセプトを考える中でこれまで実現には至らなくて。今回は全曲自作することになって、「このタイミングは逃せないな」と思って、お声がけさせてもらいました。

VACON:僕も、絶対にいつか島爺さんとコラボしたいと思っていたんです。それは音源として発表するものにならなくても、遊びとしてでもいいから、というくらいの気持ちで。遊びのように楽しみながら、二人でこだわり抜いた作品を作ってみたい。そんな願いがこんな形で実現するとは思ってもいませんでした。

ーー「虚仮の一念」というのは、“愚かな者でも、ひとつのことを一心に貫けば、思いを実現することができる”というような意味で、非常に覚悟の決まった言葉ですが、どんな経緯でここに行き着いたのでしょうか。

島爺:今まで僕はアルバムのタイトルに全部「ノ」が入っているですけど、色々と探していく中で「虚仮の一念」というワードは見つけていたんです。今作のタイトルを考える上でも候補として挙がっていたんですけど、結果的には、ついにオリジナルアルバムまで出すことになってしまった、という意味も含めて『挙句ノ果』に決定して。それから、VACONさんとコラボできるかもしれない、となったときに、頭の中にふとこの言葉が浮かんだんです。それで「虚仮の一念」という言葉をイメージしてトラックを作って、VACONさんに相談して。

VACON:「虚仮の一念」というタイトルを聞いたとき、どうしようもないくらい自分の人生ともリンクしている言葉だと思ったんです。歌詞を書いているときも、これまでの人生の答え合わせをしているような感覚というか。まさに「HATED JOHN」をアップして、島爺さんと出会った頃の自分が思い浮かぶような曲ができて、運命的なものを感じました。

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