A3!「Home」に宿る“始まりの存在”としての決意 春組メンバーの個性生かす園田健太郎の手腕
現在放送中のTVアニメ『A3!』(TOKYO MXほか)のエンディング曲を収めた、シングル『Home/オレンジ・ハート』が5月20日にリリースされた。収録曲である「Home」は、春組(佐久間咲也/CV:酒井広大、碓氷真澄/CV:白井悠介、皆木綴/CV:西山宏太朗、茅ヶ崎至/CV:浅沼晋太郎、シトロン/CV:五十嵐雅)のメンバーが歌っており、アニメの『SEASON SPRING』エンディングテーマとなっている。
「Home」の作詞・作曲・編曲は、歴代の春組ソングを担当してきた園田健太郎。多数のアニメ主題歌や、アイドル、声優の楽曲を手がけてきた園田の持ち味は、作品やキャラクターに合わせて細やかにカラーを変える柔軟さ、そして、ストリングスやピアノを組み込んだ華やかなアンサンブルで展開する、明るく広がりのある曲調だ。その手腕が、『A3!』春組の音楽にも大いに発揮されている。
もともとはスマートフォン向けアプリゲームである『A3!』は、MANKAIカンパニーを舞台に、春組・夏組・秋組・冬組の4つの演劇ユニットの劇団員たちと交流し、成長していく役者育成ゲームだ。現在『SEASON SPRING & SUMMER』と銘打たれたアニメで放送されているのは、春組と夏組にフォーカスしたストーリーで、まずは春組のパートから描かれている(この5月より夏組をフィーチャーした『SEASON SUMMER』がスタート)。
物語は、借金まみれのMANKAIカンパニーを立て直しするところから始まる。劇団員1名の状態から団員をそろえて「春組」を結成し、初公演の成功を目指す。なかばかき集めのような5人は、全員が演劇未経験。しかも、サラリーマンから学生、外国人を含む、年齢も職業も国籍もバラバラのメンバーだ。ゼロどころかマイナスに近い状態からスタートした春組の前には、関係値ができていないがゆえのすれ違い、経験のなさからの失敗、演劇に対する気持ちの温度差、成功しなければ次がないというプレッシャーなど、いくつもの困難が立ちはだかる。
だが、彼らは前向きさを捨てず、手探りながらも前に進んでいく。最初のユニットテーマ曲である「Spring has come!」には、そんな前向きな春組らしさがいっぱいに詰まっている。きらめくような音の連なりが生み出すメロディ、そのなかで歌われる〈いつか春爛漫の街角に 僕ら色した花を咲かせましょう〉という景気のいいフレーズのサビは、聴いているとぱっと心が華やぐようだ。
また、組み込まれたキャラ同士のかけあいも楽しい。日本語が苦手な外国人団員・シトロンのボケたセリフや、二面性のあるゲーマー・茅ヶ崎至の素が出る瞬間など、キャラクターソングも手がける園田の、キャラの個性を生かすテクニックが光る。個性豊かなメンバーをひっくるめて受け入れる〈少しちぐはぐなのがいいじゃない?〉という歌詞が象徴的だ。