メジャーデビューシングル 『Altern-ate-』インタビュー
Hikaru//が明かす、ソロプロジェクト始動の舞台裏「Kalafinaの10年がなければ、H-el-ical//はなかった」
『グレイプニル』とH-el-ical//を繋げる「Altern-ate-」
ーーあと、タイトルなんですけど……。
Hikaru//:あっ、これは実はマネージャーが考えたものなんです(笑)。
ーーでもそれを本採用したのはHikaru//さんなわけですよね?
Hikaru//:もともと自分が考えていたタイトルと通じるものがあったんです。「Alternate」には「相互の」「互い違いの」という意味があって。それが『グレイプニル』という作品の中でも重要なキーワードだと思ったんです。
ーーまさに〈二人で一つ〉、修一と紅愛が相互に干渉し合うことで戦い、成長するお話ですもんね。
Hikaru//:「ate」の前とうしろにハイフンが入っているのもよくて。「ate」って「eat」の過去形じゃないですか。この言葉から自分は「戦って生き残る」っていうイメージが湧いて。人生にはいろいろ難しいこともあるし、競走もあるけど戦っていかなきゃいけないという思いは私にもあるので、「Altern-ate-」というタイトルは本当にいいなと思っています。
ーーこれはKalafinaからずっとHikaru//さんを観ていたファンの勝手な印象なんですけど、そういう闘争心を剥き出しにする方だったのにはビックリしました。
Hikaru//:そうですか?わりと歌ってる時は感情的な部分を担当しているつもりだったんだけどな(笑)。
ーーKalafina時代って歌っているときはもちろんカッコいいんだけど、MCとなると、過剰なまでにお客さんに「帰りに物販ブースに寄ってほしい」ってアピールをするライブグッズ紹介担当だったりしたじゃないですか。だから朗らかに暮らしている方なのかな? と思ってたんですけど……。
Hikaru//:あはははは(笑)。確かにそういうイメージはあるかもしれないですね。でも基本的に頑固だし、物事を考えるときはあんまり頭が柔らかいほうじゃないんです。しかも人見知りだからKalafinaに入ったばかりのころは、あまりメンバーと話さずに過ごしていたんですけど、WakanaさんとKeikoさんが「話してくれなきゃ、Hikaruがどんなふうに考えてるかわからないよ?もう少し話して?」って言ってくれて。それで少しずつ人と関わりを持たなきゃいけないな、と思うようになって。コミュニケーションをとったり、頼れるところは頼ったりすることでより良い音楽を作れるんだ、ということに気付けたんです。
ーーだからデビューシングルの表題を「相互の」という意味を持っていて、その「持つ」を強調した「Altern-ate-」にした?
Hikaru//:H-el-ical//はみなさんと一緒に作っていくものにしたいしたいと決めたのも自分だし、実際そうしたいと思っているので、これからもいろんな方の力を借りながら音楽を作っていきたいなと思ってます。
ーーその「いろんな方」のひとりであるグシミヤギさんには、今回はどんなリクエストを?
Hikaru//:今回はアニメの制作サイドのみなさんからいただいたリクエストをそのままグシミヤギさんに託したので、自分から特にリクエストはしていません。
ーーでもこれまでYouTubeで発表してきたH-el-ical//の楽曲とちゃんと地続き。音楽性にブレはないですよね。
Hikaru//:それは全ての楽曲においてグシミヤギさんが"H-el-ical//のための音楽"を制作してくださっていること、Hikaru//が歌詞を書いていることが大きいと思います。あとは、ミックスの作業に自分も参加して最終的な音をH-el-ical//チームで決めていることも理由の一つかもしれません。
ーーちゃんとHikaru//さんが聴きたい、またはリスナーに聴かせたい音像が記録されているということ?
Hikaru//:そこまで音楽にめちゃくちゃ詳しいわけじゃないんですけど、ミックスダウンやトラックダウンのときにファーストインプレッションで自分も意見を言わせてもらっています。ただ、自分の知らない領域については知っている人に任せる! それは心がけています(笑)。
ーーもともと頑固だとおっしゃっていたけど……。
Hikaru//:Kalafinaの10年があったから、意地を張らず託すことでベストなものが生まれて皆さんへ届けられると、今はわかっているので。
ーーでは名義も違えば、サウンドデザインも違うんだけど、KalafinaからH-el-ical//に至るHikaru//さんの物語は実は美しく繋がっている?
Hikaru//:Kalafinaの10年がなければ、H-el-ical//はなかったと思っています。
ーーそしてカップリングは「clea-rly-」。こちらはノンタイアップの楽曲です。
Hikaru//:ちょっと気の強い女の子をイメージして歌詞を書いてみました。
ーーそれはHikaru//さんの一面でもある?
Hikaru//:さっきの話の裏みたいなことになるんですけど、音楽には現実と向き合うためのものという役割のほかに、ファンタジーな要素もほしいんです。「clea-rly-」についてはピュアなんだけど強気な女の子……ある意味ツンデレといってもいいんですけど、そういう女の子のことを歌うのは私にとってはファンタジーだからこそ歌ってみたかったんです(笑)。
ーーそのモチーフはグシミヤギさんのメロディやアレンジから浮かんできたもの? それともHikaru//さんの憧れの女の子像?
Hikaru//:曲に引っ張られた部分もありますし、あと『グレイプニル』のオープニングテーマのカップリング曲だから、という理由もあります。
ーー「『グレイプニル』のオープニングテーマのカップリング曲だからツンデレ女子のことを歌った」って?
Hikaru//:デビューシングルだからまず勢いを大切にしたいという思いがあって。だからカップリングもアップテンポになったんですけど、歌詞の内容をどうしよう? ってなったときに冨田さんから「『グレイプニル』にリスペクトを捧げつつ、ほかのキャラクターをイメージして詞を書いてみるのはどうだろう?」「『Altern-ate-』は基本的に修一目線だから、別のキャラにフォーカスを当ててみたら?」ってお話をもらって。それで「紅愛みたいな女の子のことを歌ってみようかな」というアイデアが浮かんだんです。
ーー確かにこのツンデレ感は紅愛っぽいですね。しかもこの曲もこの曲で歌詞が上手い。1コーラス目で〈どんな非情な手だって全て〉と歌っていたパートを、2コーラス目では〈どんな非常な日だって全て〉と歌っている。韻を踏むどころか、同音異義語で言葉遊びをしている。
Hikaru//:ふふふふふ(笑)。もともと本を読むのは好きだったし、Kalafinaでブログをやっていたときも、記事の冒頭でちょっと言葉遊びをしていたんです。そういう仕掛けを作るのがすきなんですよね。
ーーそして、この曲もタイトルは「clea-rly-」と単語をハイフンで区切ってますけど……。
Hikaru//:最初の4文字を読んでください(笑)。
ーー……あっ、「clea」(紅愛 / くれあ)になってる!
Hikaru//:そうなんです(笑)。
ーーKalafina時代から鳴らしていたボーカリゼーションはもちろん、楽曲、そしてそういう歌詞やタイトルのレトリックも含め、今回のCDはH-el-ical//のメジャーデビューを飾るにふさわしい1枚だと思うんですけど、今後ってどうしましょう?
Hikaru//:さすがに今は「ライブをやります!」みたいなことはなかなか言えないんですけど、音楽はもちろん続けて行くので「H-el-ical//という場所」を通じてみなさんと一緒に素敵な音源やライブを作れて行けたらいいな、と思っています。アニメのタイアップ付きの楽曲でデビューしていますけど、ノータイアップの楽曲であってもYouTubeの公式チャンネルを通じてH-el-ical//の楽曲を発表したいな、と思ってますし。
ーー実際、『グレイプニル』の放映が始まる前後……要はメジャーデビュー曲がテレビで流通する直前・直後に「水 – Find your answer」「風 – Struggle to admit」「地 – Side by side」という連作を発表してますもんね。その尽きない創作意欲にはビックリしました(笑)。
Hikaru//:4月5日にアコースティックライブをやる予定で、そのための新曲が5曲あったので、その5曲はインディーズのCD「elements」として通販限定でリリースするんですが、配信したのはそのうちの3曲です。こんな状況ですけど、H-el-ical//としてできること、みなさんと楽しめることはまだまだ模索したいなと思っています。
■リリース情報
H-el-ical//
メジャーデビューシングル
『Altern-ate-』
2020年5月20日(水)発売
【初回限定盤】¥1,800+税
【通常盤】¥1,200+税
<CD>
1. Altern-ate-
作詞:Hikaru// 作曲:グシミヤギ ヒデユキ 編曲:グシミヤギ ヒデユキ
2. Clea-rly-
作詞:Hikaru// 作曲:グシミヤギ ヒデユキ 編曲:グシミヤギ ヒデユキ
3. Altern-ate <instrumental>
4. Clea-rly-<instrumental>
<初回限定盤 特典Blu-ray>
・「Altern-ate-」MusicVideo
・「Altern-ate-」MusicVideo Making
・TVアニメ『グレイプニル』ノンクレジットオープニング
・SPOT
■放送情報
TVアニメ『グレイプニル』
TOKYO MX:4月5日より毎週日曜 23:30~
BS11: 4月5日より毎週日曜 23:30~
サンテレビ: 4月5日より毎週日曜 23:30~
KBS京都:4月5日より毎週日曜 23:30~
AT-X:4月7日より毎週火曜 21:30~
※リピート放送
毎週(木)13:30 / 毎週(土)29:30 / 毎週(日)24:30
■関連リンク
H-el-ical//オフィシャルサイト
H-el-ical//オフィシャルTwitter
Hikaru//オフィシャルTwitter