flumpool、yonige……優れたポップネスとバンドの個性が混ざり合った楽曲 新譜からピックアップ

yonige『健全な社会』

 後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、福岡晃子(チャットモンチー済)のプロデュース楽曲を収めた2ndフルアルバム『健全な社会』でyonigeは、“本当に表現したいこと”をストレートにぶつけ、バンドとしての独自性を明確に示してみせた。全体を覆うのは、憂いと切なさが滲み出るような旋律、そして、音数を抑え、一つ一つの音に存在感を持たせたサウンドメイク。わかりやすくキャッチーな曲というよりは、すべての曲にyonigeの本質が濃密に込められていて、聴き進めるにつれて豊かな感動が押し寄せてくるのだ。〈どうでもいいよ/どうだってなるよ〉(「みたいなこと」)など、行き場のない思いを綴った歌詞も印象的。悲しいのかどうか、喪失感があるのかどうかもわからない漂うような感情を含んだ歌からは、ソングライターとしての牛丸ありさの才能が色濃く伝わってくる。もしかしたら賛否両論があるかもしれないが、正真正銘の名作であることを断言したい。

yonige「健全な朝」official music video
FTISLAND『10th Anniversary ALL TIME BEST/ Yellow [2010-2020] 』(通常盤)

 日本デビュー10周年を記念したFTISLANDのベストアルバム『10th Anniversary ALL TIME BEST/ Yellow [2010-2020]』。メジャーデビュー曲「Flower Rock」、ヒット曲「SATISFACTION」「PUPPY」、最新アルバム『EVERLASTING』のリード曲「God Bless You」、さらに入隊前のPrimadonna(ファン)へのプレゼントとして制作された新曲「Sunrise Yellow」などをコンパイルした本作は、韓国出身のティーンズバンドとしてスタートし、音楽性、人間性の両面で成長を続けた彼らの軌跡が刻まれている。メンバーの構成はシンプルなロックバンドだが、そのサウンドは極めて多彩。攻撃的なギターロック、叙情に溢れたバラードナンバーからEDM、ネオソウルを取り入れたダンスミュージックまで、幅広い要素を取り入れながら進化を続けるーーそのプロセス自体が、FTISLANDの個性なのだと思う。トレンドを上手く吸収し、FTISLANDのポップミュージックに昇華するメンバーのセンスにも注目してほしい。

FTISLAND – Sunrise Yellow【OFFICIAL MUSIC VIDEO -Full ver.-】

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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