欅坂46 石森虹花、グループで独特の立ち位置を確立 被災によって芽生えたアイドルへの強い思い

 また、同誌で欅坂46でどんなドラマをやりたいか問われると「メンバー1人ずつにスポットを当てたドラマを見てみたいです」と回答している。グループ全体のことを思っていることが伝わる発言だ。

 そんな“メンバー思い”な石森は、グループ随一の“ポンコツ”キャラとしても知られている。番組でもクイズ企画で珍回答を連発し、“おバカ”キャラが定着。「石森に難しいことを話させてはいけない」という流れがすっかり定番化している。

 しかし、そんなキャラクターとは裏腹の一面も持つ。筆者は一度だけ対面での取材経験があるが、質問への受け答えにしても話す内容がちゃんと整理されていて、言葉を順序立てて発している印象があった。番組で見せる姿とは異なり、人との対面の場では非常に丁寧で知性を感じるのだ。

 それを常に感じ取れるのが、彼女のSHOWROOMでの個人配信である。落ち着いたトーンで喋り、テンポ良くコメントを返し、メンバーの近況を伝えたり、欅坂46の作品について語ったり、リクエストされた曲を歌ったりなど、丁寧で“ファン思い”な姿勢が見受けられる。

 ひと頃、ライブの終演後にメンバーがステージから捌けていく際に石森だけ残って観客へ深々とお辞儀するのが恒例となっていたが、グループからファンに感謝を伝えるメンバーとして選ばれていたのも、彼女のそうした礼儀正しい人柄があってのことだろう。彼女の配信を楽しみにしているファンは多いのも、そうした真摯な対応がしっかりと伝わっているからだ。

 グループをやさしく見守るような姿勢も持ちつつ、パフォーマンス面ではグループを引っ張り、そして“ポンコツ”キャラとして愛される。“メンバー思い”で“ファン思い”……彼女はそんな温かい存在だ。

 グループ的にも、そして世界的にも混迷を極める2020年。こうした不安な状況を乗り越えて行くには、彼女のような存在がグループに欠かせない。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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