『風吹けば月夜の果てに』インタビュー
A応Pが語る“アニメ賛歌”で届ける作品とファンへのエール、そして卒業メンバーへの思い
「この曲はゴジラで、次の曲はシン・ゴジラ」
ーー今回に限らず、タイアップ曲を歌うときは先ほどおっしゃっていたようにアニメの世界観をきっかけにイメージを擦り合わせている?
巴:タイアップ曲じゃなくても、いつもそうやって曲に対するイメージの骨組みを作っている気がします。たとえばライブって前半戦は弾けるブロックで、中盤はしっとりしたブロックという感じで、テイストの似た曲を何曲かずつ集めてセットリストを作るじゃないですか。で、これは自分でも「なにをやってるんだろう?」って話なんですけど、ライブの打ち合わせのときってセットリストのメモを見ながら、「このブロックはゴジラのイメージで、その次のブロックはシン・ゴジラで……」ってメモをするんですよ。
ーー巴さん、ホントに“なにをやってる”んですか?(笑)
一同:あはははは(笑)。
広瀬:いや、でも私たちはホントに大マジメなんです!
星希:みんなアニメや特撮のファンなので、全員が知っている作品やキャラクターにたとえておくと細かいところまでイメージを共有できるんです。
ーーであれば今回は『継つぐもも』……つまりは『つぐもも』というシリーズの新作アニメのテーマソングである、ということさえ共有できていれば、ハーモニーは成立するという確信があった?
工藤:確信っていうほど強い自信ではなかったんですけど、もしかしたら8人それぞれ『つぐもも』シリーズに対する感想は違うのかもしれないけど、その感想は全部『つぐもも』という作品のことではあるので、巴さんが言っていたとおり、バラバラのほうがいい。『つぐもも』シリーズの世界観を8通りの歌声で表現できるし、でもみんな歌っていることは同じ作品のことだからちゃんと声も揃うんだと思います。
巴:全員がアニメファン出身っていうことと、8人という大人数で歌うっていうことが、ほかのアニソンアーティストさんとは違うA応Pならではの強みなのかもしれないし、それがグループにとって必要なことなんだと思っています。
ーーでは、みなさんの思う『つぐもも』シリーズ感とは?
広瀬:コメディと美少女ものとバトルものっていう複数の要素がすごくぜいたくに盛り込まれた作品だなと思ってます。しっかりバトルもするし、ガッツリお色気もあるし(笑)、女の子はかわいいし、それを全部一緒に楽しめるのってすごくアニメーションらしいなあ、という気がします。前シリーズの『つぐもも』もそうだし、今の『継つぐもも』も観ていると「アニメを観てるなあ、私!」っていう気持ちになれるんです。
工藤:確かにあの振り幅の大きさにはビックリしました。お色気はお色気で全力でやるし、バトルもバトルで全力でやる大胆さがあるし、その表現の仕方も「これ、放送するんだ!?」みたいな……。
巴:あはははは(笑)。
工藤:なんかそういう振り切れたところに、広瀬さんの言う通り、アニメらしさというか、懐かしさを感じていて。実家のような安心感のあるアニメだなと思ってます(笑)。
ーー星希さんは?
星希:私、ラッキースケベが出てくるアニメが大好きなんですよ(笑)。
ーーでも「風吹けば月夜の果てに」の歌詞にラッキースケベ要素はひとつもないですよ?
星希:そこは広瀬さんや工藤が言ってくれたみたいに、ラッキースケベがありながらも、バトルはしっかりバトルをしてくれている。(加賀見)かずやと桐葉は普段はおちゃらけているんだけど、戦うときの眼差しは真剣なんです。だから「風吹けば月夜の果てに」はその眼差しとシンクロしている曲なのかな、と思いながらレコーディングしました。
旭:私は星希と逆で、『つぐもも』シリーズのバトルシーンのカッコよさが好きなので、この歌詞はすんなり受け入れられたし、だからこそ強めに歌おうって思っていました。
広瀬:私も桐葉の強さをすごく表しているなと思ったので、そういうイメージで歌ってたかなあ。
小嶋:私もそうですね。桐葉の芯の強さとリンクした曲だなと思ってます。
工藤:逆にオープニング曲のシリアスさと、アニメ本編のラッキースケベのギャップを楽しんでいただいても面白いと思いますし。
春咲:でも私は『つぐもも』シリーズって確かに明るくて楽しいコメディが軸にはなっているし、バトルも激しくて、ある意味スカッとできる作品だとも思うんですけど、どこかダークというか、物語の向こうに霞がかかっている雰囲気がある気がしていて……。
ーーじゃあ、実はこの歌詞は『継つぐもも』の今後の展開を占う内容になっているかもしれない?
春咲:なんかシニカルというか、シリアスな展開が待ってそうですよね。それが『つぐもも』シリーズのよさだし、今回の曲に、アニメの世界とリンクしているイメージがあるんだと思います。
巴:アニメとリンクという意味では、今回曲の歌い出しは私が担当しているんですけど、私、こういう声をしているじゃないですか。
ーーいわゆるアニメ声というか、かわいい声をなさってますよね。
巴:だからいつもならこういうカッコいいメロディの曲じゃなくて、楽しい曲やかわいらしい曲の歌い出しを担当することが多いんですけど、今回、歌い出しが私に回ってきたっていうことは制作陣もバランスをとっている気がするんです。
ーー確かにこの曲って歌詞やメロディがハードなのに対してボーカルがかわいいですよね。
巴:だからシリアス一辺倒ではない。コミカルな部分やセクシーな部分もあるアニメの世界を声で表現できているのかな? という気がしていて、それがうれしいんですよね。