A応Pが語る“アニメ賛歌”で届ける作品とファンへのエール、そして卒業メンバーへの思い

A応Pが“アニメ賛歌”で届けるエール

8年目のA応Pだから歌えるアニメーション賛歌

ーー「風吹けば月夜の果てに」は、アニメ『つぐもも』の第2期のオープニングテーマですが、第1期では、バンドじゃないもん!(現・バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI)の「METAMORISER」が歌われていましたが、アニメシリーズのテーマソングを別のアーティストから引き継ぐのはプレッシャーにはなったりしませんか?

巴:まずタイアップ曲を歌うこと自体プレッシャーはあるし、確かに第2期というプレッシャーもありますね。ただ、それはネガティブなプレッシャーではないというか「新しい『つぐもも』のテーマソングはA応Pに歌ってもらいたい」って思っていただけたんだから、その思いに全力で応えたいっていう気持ちなんです。がんばろう!って。

広瀬:私もうれしかったかなあ。というのも、そもそもバンもん!さんの「METAMORISER」がすごく好きだったんですよ。あの曲がテレビから流れてくると「あっ、『つぐもも』が始まった」って、さっき(工藤)ひなきが言っていたような実家のような安心感を覚えていたので、その第2期のテーマソングを任せてもらえたので。今度はA応Pがバンもん!さんみたいに「『つぐもも』が始まった」って思ってもらえるようにしたいな、と思っていました。

工藤:あと、私が深読みをしてしまうタイプのオタクだから気になるのかもしれないんですけど、バンもん!さんの「METAMORISER」は打ち込み系の曲だったけど、私たちの「風吹けば月夜の果てに」はバンドサウンドじゃないですか。

ーーしかも「METAMORISER」は歌詞も言葉遊び感の強いポップなものでしたよね。

工藤:その曲から、私たちのシリアスな曲にテーマソングが引き継がれたということは、さっきの(春咲)暖じゃないけど、アニメの中でも第1期とはなにか違う展開があるんじゃないか、っていう深読みをしてしまって。プレッシャーよりも、そういう想像をする楽しさのほうが勝ってました。

ーーそして5月のシングルのカップリング曲は「ANIMAGICAL」。鼓や太鼓や笛といった和楽器をフィーチャーした、BPM落とし目のEDM。ガールズポップのトレンドを押さえた1曲に仕上がっています。

巴:確かにこれまでのA応Pにはないジャンルだったのですごく新鮮でした。私たち、ライブでは常に激しく踊っているので。ただ歌いやすくはなかったですね(笑)。

工藤:(うつむく)

ーー工藤さん、レコーディングにうつむくほどイヤな思い出がありました?(笑)

工藤:難しすぎました……。

旭:メロディが上下に激しく動くから、もう泣きそうでした……。だからすごい難しい顔をしてレコーディングしていた気がします(笑)。

ーーアニメが誰かと誰かの出会いをもたらしてくれるという、すごくポジティブな曲なのに(笑)。

星希:私、自分で言うのもアレなんですけど、メンバーの中でも曲を覚えるのが早いつもりがあるし、スタッフさんもそう思ってくださっているのか、今回キー合わせ用の仮歌も歌わせてもらっているんですけど、まあ曲が覚えられなかった(笑)。たいていの曲は2〜3時間あれば覚えられる上に、しかも仮歌用だから1コーラスだけ覚えればよかっただけなのに、死ぬほど聴いても覚えられないくらいメロディラインが複雑なんですよね。

ーーでも、さすがのクオリティというか、ものすごくスムーズに歌いこなしてますよね。

春咲:さっきおっしゃっていた歌詞の影響かもしれないですね。

旭:うん。昔の自分を見ているようだった。

広瀬:今もそうだよ。うちのメンバー、初対面の人とすぐに仲良くなれる子がひとりもいないんですけど、私たちは3年前の初対面のときに一瞬で会話できるようになったんですよね。それはなんでかといったらアニメがあったから。アニメを通して仲良くなれたのは本当に“ANIMAGICAL”だなと思っています。

春咲:自分の歴史とも重なるんですよね。アニメを観るようになってからの私たちそれぞれの人生がギュッと詰まっているような気がしていて。レコーディングのときも思いがあふれすぎて泣きそうになっちゃったし、それは私たちだけじゃないと思うんです。たいていの人が子どもの頃にはアニメを観ていて、それになにか影響を受けたり、感動したりしたことがあると思うので、本当にみなさんに聴いてもらいたくて。確かに難しい曲だったんですけど、それ以上に共感できたから歌いやすかったし……なんて言うんだろう? 「春だなあ」という感じというか……。

星希:“春”咲だけに?

ーーわっ! おそろしくベタなダジャレが飛び出てきた!

春咲:ホントだよ(笑)。でも、本当に歌っていても聴いていても暖かい気持ちになれる曲だなあと思っています。

小嶋:私も〈好きなものを好きだって言うことは なぜだろう意外とむずかしくて〉っていう歌詞とか「共感できるー!」と思えたし、感情は込めやすかったですね。ただ、このパートの歌割りはもらうことができず……。

巴:〈勇気ひとつだけで ドラマチックになる〉担当だもんね。

左から、旭優奈、小嶋凛、巴奎依、春咲暖、星希成奏、工藤ひなき、広瀬ゆうき

ーー確かに小嶋さんの言うとおり〈二次元と三次元が 繋がる瞬間 想像を超えてみたいの ANIMAGICAL〉や〈アニメがリアルと手を繋ぐANIMAGICAL〉という歌詞は、A応P、つまり「アニメ“勝手に”応援プロジェクト」として活動している人たちとは共感性が高い。だからこそみなさんが歌うべき歌だとは思うんです。

巴:「風吹けば月夜の果てに」がアニメ『継つぐもも』ありきで作られた曲なら、「ANIMAGICAL」はA応Pありきで作られた曲。確かにA応Pのタイアップ曲みたいだな、と思ってます。

ーーただ、そうであればこそなおファンの「A応Pにアニメが僕らに起こしてくれたマジックを歌ってほしい」っていう願いって重たくなったりはしませんでしたか?

旭:おっしゃるとおり私たちだから歌える歌だな、とは思ったけど、それを歌うことが重たくはなかったですね。

星希:魚屋さんが魚を売るみたいな感じだと思うんですよ(笑)。

ーー「アニメ“勝手に”応援」屋さんだから、アニメとそのファンを応援する、と。

工藤:やっとこういう歌を任せてもらえるようになったなあという感じがあります。

広瀬:うん。8年前の結成当初だったら重たかったと思います。まだまだ「本当にアニメファンなの?」って思われていた面もあったから、あの頃この曲をもらっても歌うのが怖かった気がするんですけど、今なら素直に歌える。それはここまで活動を続けてきた証なんだな、と思っています。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる