仲村宗悟、下野紘、浪川大輔、森久保祥太郎……『声優と夜あそび2020』出演者の音楽活動を辿る
ファンを楽しませることにかけての天才・浪川大輔
2018年に『声優と夜あそび』の放送が始まって以来、木曜日を担当してきた浪川大輔。『声優と夜あそび2020』では新たに参加した石川界人とペアを組む。
2010年よりアーティスト活動を続けている浪川だが、彼の音楽を最も堪能できるのはライブだろう。彼が率いるバンド・NON STRESSのパフォーマンスにはとにかく元気をもらえるのだ。ステージの一瞬一瞬を楽しんでいる彼らの姿を見ているだけで、自然と気持ちが弾んでくる。
浪川自身、2015年に行なった日比谷野音での5周年ライブ『1915+ON』がひと区切りだったと振り返るが、そこで新たに「自分を変えていかないといけない」と思い、「クセのある曲が続いたから、キレイなメロディの楽曲をやりたい」と臨んだ4thシングル『My Treasure』を経て、念願だった和テイストの5thミニアルバム『賽』のリリースが実現した。
『声優と夜あそび』でも見られるように、いつも明るくお茶目な愛すべき“いじられキャラ”の浪川大輔だが、音楽を作る過程ではつねに自分を追い込み、苦しんでいるという。「努力している姿はエンタメにはいらない」と考える浪川は、自分の苦しむ姿を決して表には出さないが、彼のそのスタンスこそが浪川大輔たる所以であり、ファンを楽しませるステージにつながっているのだろう。
「毎年ツアーをやるとかじゃなくても、ずっと音楽活動に触れていたい」と語る浪川。吉野裕行とのユニット・Uncle Bombの活動もあわせて見守っていきたい。
一方、浪川とペアを組んだ石川は「歌や踊りが得意ではない」とするも、キャラクターソングを歌うことは多く、なかでもTVアニメ『宇宙戦艦ティラミス』のスバル・イチノセ役として歌う楽曲はどれもオススメ。純粋なスバルと石川のまっすぐな歌声がリンクしていて、キャラクターソングとしての良さが詰まっている印象だ。
アーティスト活動20周年に向け、エネルギーを蓄えた森久保祥太郎
『声優と夜あそび』で数々の逸話を残してきた金曜日担当・関智一の新たなパートナーに抜擢された森久保祥太郎。
2001年よりソロアーティストとして音楽活動を続けてきた森久保は来年20周年を迎える。”PHASE”を重ねてきた彼のライブツアー『心・裸・晩・唱』も、今年10月から11月にかけて全国8カ所をまわる「~PHASE8~」が予定されているが、2月下旬にインタビューした時点では「やりたいことがありすぎて、どういったプランにしようか、まだ固まっていない」とのこと。
とはいえ、新しいPHASEを迎える予感は確実にある。森久保は昨年、ソロ名義での活動を控え、Shinnosuke(元SOUL’d OUT)とのユニット・buzz★Vibesの活動に集中した。そうすることで新たなモチベーションを得て、ソロ活動に向けてのエネルギーをしっかり充填できたと語る。
たしかに、20年も続けていくなかで、つねに「前作よりも良いものを出していきたい」と意識を高く保つには相当なエネルギーが要るだろう。アーティストとして第一線を駆け抜けてきた森久保でも、モチベーションの維持には苦悩していたはず。そんな彼がいま、満タンのエネルギーで臨もうとしている新しいPHASEは、果たしてどんな景色となるだろうか。興味は尽きることがない。
2017年11月以来の森久保祥太郎名義でのリリースとなった13thシングル『I'm Nobody』。表題曲かつTVアニメ『天晴爛漫!』のED曲でもある「I'm Nobody」は、作品の世界観を含んだアコースティックな曲調だ。いつものテイストとはまた違った魅力が込められた13thシングルを皮切りに、20周年に向けてエネルギーを蓄えた森久保から目が離せない。
再び余談となるが、先述した工藤静香カバーミニアルバム『Shizuka Kudo Tribute』には関も森久保も参加している。関による「激情」、森久保による「抱いてくれたらいいのに」はともに、 大人の男の色気を存分に含んだふたりが工藤静香の名曲を情熱的に歌い上げる印象的な楽曲となっているので、ぜひ聞いてみてほしい。
■とみたまい
フリーライター。主に声優、アニメ、特撮などのジャンルにおいて、インタビュー取材を
中心に活動中。
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