『Love music』『PLAYLIST』出演など話題のザ・リーサルウェポンズ コミカルかつノスタルジックなサウンドがポイントに
ザ・リーサルウェポンズをご存知だろうか。2019年、突如として出現したロックユニットで、4月26日放送の『Love music』(フジテレビ系)や4月28日放送の『PLAYLIST』(TBS系)にも出演。にわかに注目を集めている二人である。Twitterのプロフィール欄をチェックすると、「サイボーグジョーとアイキッドの二人組」と書いている。なにやら怪しいプロフィールだが、80年代~90年代のカルチャーを背景に、アメリカ生まれのサイボーグジョー(Cyborg Joe)と彼を発明したプロデューサー・アイキッド(AI-KID)という日米混同の二人組ということだ。
彼らのビジュアルを見るだけでもわかる通り、80年代〜90年代のカルチャーには相当精通していることが伺える。実際、彼らがリリースする作品の多くは、その世代に生まれたカルチャー(その中でも少年の心をくすぐるものが多い)への造詣の深さと、愛に溢れている。
星野源が自身の『オールナイトニッポン』でも紹介したことで、YouTubeでは90万以上の再生数を獲得し、大きな話題になった「きみはマザーファッカー」は、80年代を彷彿とさせるシンセサイザーを積極的に用いた、懐かしさを感じるダンス(?)ナンバーである。レトロゲームに馴染みのあるリスナーなら、きっとこの音使いにぐっとくることだろう。また、MVを観てみると、特撮モノの怪獣のような着ぐるみが映っていたりと、当時のキッズの心を鷲掴みにしたカルチャー要素が満載なのである。
レトロな音使いと、オタク趣味の強い画作りだけでもなかなかにパンチが効いているのに、歌の中心となる単語が〈マザー・ファッカー〉という強烈性。とはいえ、歌われているワードをのぞけば、子どもにも響きそうなキャッチーさはある。コミカルだが、楽曲的としても完成度の高い作品である。
なお、個人的には『ストリートファイターⅡ』の操作状況をコミカルに歌った「昇龍拳が出ない」という曲が好きである。ちなみに、この曲も、一昔前の戦隊モノで流行ったようなニオイのするサウンドメイクが施されている。
ザ・リーサルウェポンズの楽曲には"懐かしさ"が内包されている。少なくとも、今の流行りのロックバンドでは感じ取ることができない手触りの音楽を鳴らしている。そのレトロなサウンドこそが、ザ・リーサルウェポンズの大きな魅力なのである。例えば打首獄門同好会が、現代の日本人たちとの“日常生活にあるもの”を歌にしているのならば、ザ・リーサルウェポンズは、およそ20〜30年前の少年の“日常生活にあるもの”を歌にしていると言える。