Marker Starling、Cabane、Trace Mountains……自宅でロマンティックに聴きたい男性インディーアーティスト5作
・Marker Starling『High January』
・Cabane『Grande Est La Maison』
・Trace Mountains『Lost in the Country』
・Hamilton Leithauser『The Loves of Your Life』
・M. Ward『Migration Stories』
メランコリックで美しいメロディ、洗練されたサウンド、心優しきダンディズム……。今回は落ち着かない世の中で、自宅でロマンティックに過ごすことができる男性アーティストの作品を紹介。
Marker Starling『High January』
かつてはMantler名義で活動していたトロント出身のシンガーソングライター・Marker Starling。現在はベルリンを拠点に活動しているが、3年ぶりの新作『High January』はSean O’Hagan (The High Llamas)がプロデュース。Laetitia Sadier(Stereolab)やNicholas Krgovichが参加してイギリスで制作された。バンド編成のレコーディングで、タイトな演奏から生み出されるグルーヴは、ソウルやジャズのエッセンスがブレンドされている。O’Haganお得意の弦の調べはないものの、コーラスのアレンジやキーボードを巧みに配置した洗練されたサウンドに技が光っていて、Robert Wyattを引き合いに出される優しい歌声を引き立てる。本作がCDでリリースされるのは日本のみで、さらに日本盤は鍵盤の弾き語りにリズムボックスを加えた2018年作『Trust An Amateur』との二枚組というスペシャルな仕様。
Cabane『Grande Est La Maison』
ベルギーのミュージシャン、Thomas Jean Henri によるソロユニット・Cabaneの1stアルバム『Grande Est La Maison』。Sean O’Hagan、 Sam Genders(Tunng)が参加して、ボーカルにBonnie“Prince”BillyとKate Stables(This Is The Kit)をフィーチャー。室内楽的なストリングスサウンドにアコースティックギターを絡めて、ビブラフォンが波紋のように揺れる。そのエレクトロニカを隠し味にしたフォーキーなサウンドは、The High LlamasやTunngに通じるものがある。楽器の音色や歌声の生の質感を大切にした録音になっているのが印象的で、ポストクラシカル的な気品を漂わせながらも曲の中心にはしっかりと“歌”がある。BonnieとKateはそれぞれソロで歌いながらデュエットも披露。時には聖歌のような厳かさを漂わせていたりもして、そのエレガントで哀愁を帯びた歌はベルギーの老舗レーベル、<クレスプキュール>(Les Disques Du Crepuscule)の世界を思わせたりも。