SKY-HIの活動に見るスピード感と柔軟性 「#Homesession」の広がりから『スッキリ』リモートライブまで

 こういった活動に関して、SKY-HIは非常にスピード感がある。常に多くのミュージシャンにリスペクトを表し、自身の楽曲配信だけでなく社会情勢やお笑い、アイドルなど幅広い情報をキャッチアップし続けている彼だからこそ、このスピード感を出せるのだろう。そしてそんなSKY-HIだからこそ、これまでの常識にとらわれない活動にすぐにシフトできる柔軟性も発揮できているのだ。

 その一つが4月16日の『スッキリ』(日本テレビ系)への自宅からのリモート生出演&ライブではないだろうか。これまで、オンラインでテレビに出演し、ライブをするという“常識”はなかった。もちろん、音や通信環境などが万全でないという理由があったからで、オンライン環境が整いつつある現代でもその点が気になるアーティストは少なくないと思う。発信するなら万全を期して届けたいはずだからだ。しかし、この状況下だからこそ「生出演してライブをする」ということ自体に価値が生まれる。SKY-HIはそれをいち早く汲み取り、発信したのではないだろうか(パジャマで登場するというユーモアもあったのはさすがだ)。結果、多くの反響が寄せられ、SNS上でも大いに盛り上がっていた。

SKY-HI「そこにいた」
SKY-HI「そこにいた」

 また、4月10日にはYouTubeにデモ音源を公開して話題になった楽曲「そこにいた」の配信もスタート。合わせて、『#オンライン繁華街』にはオフボーカルの音源が配布され、家にいながら歌唱ができる環境も提供している。同日には、兼近大樹(EXIT)とオンラインでインラスタライブも行ない、「そこにいた」をコラボするという試みも。ここにもSKY-HIのスピード感が表れていた。

 この一連の活動から、SKY-HIの“柔軟性”と“現実的な前向きさ”という本質的な魅力が顕になった。3月29日にYouTubeで行なわれたライブ配信の中で、「違う日常になったと思ったほうがいい」、「我々が生活している社会はそれまでとは完全に違うものになった」と冒頭で話をしていたが、その上でこれからどうすればいいかを考えた結果だろう。しかも、自分自身だけでなく「音楽業界全体をどうすればいいか」という広い視点を持って考えており、それが「#Homesession」やテレビでのオンラインライブなどにつながっているのではないだろうか。そして、自身の中に伝えたいこと、「こうしたい」という確固たる軸があるからこそ、ブレずに行動に移せるのではないだろうか。彼を見ていると、今後生き残れるのはブレない信念、そしてそれを表現できるだけのスキルと情熱を持っている人のみになるのではないかとさえ思えてくる。我々、非音楽人には計り知れない苦悩もあるはずだ。だが、「SKY-HIなら想像の上をいく活動をしてくれるのは? そして人生を豊かにするという音楽の在り方はコロナ禍でも揺るがないのでは?」ーーそんな期待と希望を与えてくれている。

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