「一段上の段階になった」 DJ CHARI & DJ TATSUKI、Tiji Jojo & Barkと語り合う“BAD HOP前後”のヒップホップシーン

新番組『DJ CHARI & DJ TATSUKIのヒップホップ講座』がApple Music Radioにてスタートする。
DJやプロデューサーとして活躍するDJ CHARIとDJ TATSUKIが、自らの経験をもとに日本のヒップホップの歴史を語るラジオ番組となっており、毎回ひとつのモーメント/ムーブメントをテーマに、その時代を象徴するゲストが登場する予定だ。教科書的にシーンや音楽を解説するのではなく、シーンを実際に生き抜いた彼らの視点をベースにした制作秘話や思い出話など、ここでしか聞けないエピソード満載の番組になるだろう。加えて、この番組でしか聴けないラップセッションも配信される。
初回のゲストは、近年の国内ヒップホップシーンを語るうえで最も重要なグループのひとつであるBAD HOPの元メンバー、Tiji JojoとBark。
4人の出会いから、これまでともにサバイブしてきたシーンや触れてきた音楽などについて、リスペクトと笑顔に溢れるトークが展開し、あっという間に時間が過ぎていった。
リアルサウンドでは、収録を終えたばかりの4人に突撃取材。番組を振り返りつつ、現在のシーンやそれぞれの活動について語ってもらった。(高久大輝)
「すごいヒップホップだなって印象でした」ーー明かされる4人の出会い
――まずは収録を終えた感想から教えてください。
Bark:本当に一瞬でしたね。
Tiji Jojo:一瞬だった。本当にこれまでライブが終わったあとだったり、いつも近くで話してきた4人だったんで、そういう普段していた会話をこういうオフィシャルな場でやった感覚ですね。
DJ TATSUKI:ゲストのふたりは年下なんですけど、出会ってからもう長いんで、気持ちがすごく楽でしたね。
DJ CHARI:JojoくんもBarkくんも喋るのが上手だしね。なんならふたりが回してくれて、俺らに質問してくれたりもして。マジで助かりました。
Tiji Jojo:そもそも普段からBarkはよく喋るんです。
DJ TATSUKI:うん、すごい話も上手いし。
Bark:え、自覚ないです(笑)。
DJ TATSUKI:だから、俺らの次はJojo&Barkでやってよ。
Tiji Jojo:Bark、ひとりでもできるんじゃない?
DJ CHARI:Barkのひとり語り(笑)?
Bark:俺だけだとタイムキープできないんで(笑)。
DJ TATSUKI:たしかに、難しいよね。
Bark:「次のコーナー行くよ」とか言ってくれるサポーターがひとりいたらいけるかも。
Tiji Jojo:CHARIさんも、最初の入りの感じとかすごく上手でしたよね。
DJ CHARI:ああいうのはテンションでいけるじゃないですか。
Tiji Jojo:スイッチを入れるみたいなあのテンション、結構むずくないですか? その辺はDJで培われてますよね。
DJ CHARI:「シーザップ!」ってね(笑)。でもたしかに、あらためて意識するような感覚はなかったかもしれない。いつも通りで。

――ラッパーがゲストで来ている海外のラジオのムードに近いようにも感じました。番組を作るにあたって意識した部分はありますか?
DJ TATSUKI:Apple Musicの皆さんも「そういうイメージで」と言ってくださっていて。しかも、しっかり準備してくれたうえで、かなり自由にやらせてくれたんです。だから、そう受け取ってもらえたら何よりですね。
Bark:俺に関しては全く意識しなかったですね(笑)。気楽にやりました。このふたりがホストじゃなかったらまた違ったと思うんですけどね。いつものライブ後って感じでした。
DJ TATSUKI:それがありがたかったよ。
――本当に皆さんの関係性だからこその会話が聞けた気がします。ちなみに、お互いの初対面の印象を覚えていたりしますか?
DJ TATSUKI:最初はBAD HOPとしてのふたりで出会っていたので、Jojoくん、Barkくんというより、BAD HOPの印象になっちゃうんですけど、ちゃんと先輩を立ててくれたりするうえで、パーティーもいっぱいしていて。すごいヒップホップだなって印象でしたね。
DJ CHARI:きっと音源を聴いてすぐのタイミングくらいで出会えてるよね。
Tiji Jojo:僕らも昔からふたりを知っていたわけじゃないんですけど、出会った当時は、まだふたりで作品とかを作っていなかったんじゃないかな。
DJ TATSUKI:そう。初めてしっかりDJ CHARI & DJ TATSUKIで楽曲を作るときには、もうみんながいてくれてるんですよ。そこから認知も広がったと思うので、そのときはまだあまり知られていなかったというか。
DJ CHARI:クラブDJをやってるっていう時期だったから、現場で知ってくれている人がちらほらいるくらいの感じでしたね。
Bark:収録でもチラッと話したけど、やっぱりみんなSocial Club Tokyo(渋谷にあったクラブで現在は閉店)で遊んでたのが大きいというか。俺らがクラブ遊びを覚えたのもSocialだったんで。
Tiji Jojo:『日本語ブルマ』っていう日本語ラップが流れるイベントがあって、たしかゲストが毎回ラッパーだったんだよね。
DJ TATSUKI:そうかも。ZORNとかNORIKIYOさんの回があった気がする。
Bark:今振り返ってもあれが基盤というか、重要なイベントでしたよね。
BAD HOPがヒップホップシーンに与えた影響
――BAD HOPの存在は、日本のクラブで日本語ラップと海外のラップが混ざってかかるようになったきっかけのひとつだったんじゃないかなと個人的には思っていて。
Bark:でも、もっと前からあったんじゃないですかね。AKLOさんとかSALUさんとか。
Tiji Jojo:けど、俺らの前にもDJ TY-KOHさんもいたし、Y'Sさんの「Tequila, Gin Or Henny」があったり、YOUNG HASTLEさんの「V-Neck T」があったりして。
DJ TATSUKI:あったね。「V-Neck T」とか衝撃だったよね。ふたりはどう聴いていたの?
Bark:もう最高でしたよ。
Tiji Jojo:MVもカッコよかったしね。
Bark:一個のトピックで曲を作るってこともすごいじゃないですか。あれで3ヴァースは自分でやるの無理っすもん。
Tiji Jojo:俺らが知ってる日本のヒップホップじゃなかったもんね。
Bark:一個変わったもんね、感覚が。トピックとか、音楽のテンション感とかも、もうノリでいいんだ、って。
DJ TATSUKI:たしかに。そっからKOHHが出てきて俺らの世代、みたいな流れだね。
DJ CHARI:でもやっぱりBAD HOPが登場してから、もっとしっかり海外の曲と日本の曲が混ぜられるようになった気がするな。
DJ TATSUKI:そうだね。着実にアップデートされてきたなかで、BAD HOPのみんなはさらにフロウとかから海外水準で考え始めていて、そこで確実にもう一段上の段階になった気がしていて。特にDJだから感じる部分かもしれないですね。もちろんKOHHが海外の曲のビートジャックをやっていたのも重要だったけどね。
Tiji Jojo:自分たちが日本語ラップも聴くし、USのラップ音楽も聴いてきたからそうなったのかもしれないです。
Bark:それこそAKLOさんとかがめっちゃ革命というか、「こんなラップの乗せ方できるんだ!」という感じで。そこからいろいろ視野が広がったんだと思います。

――地続きの感覚なんですね。すごく良い話です。BAD HOP解散以降でのシーンの変化も肌で感じたりしますか?
DJ TATSUKI:俺やCHARIは感じていると思います。言葉にするのは難しいけど、完全にひとつの時代が終わった感覚がはっきりあって。BAD HOPが解散したことで彼らがラッパーとして次のステージに行ったからこそ、次の世代もどんどん出てきているというか。
DJ CHARI:BAD HOPもそうだし、近い時期にKANDYTOWNの解散もあったりして。その世代がリーダーというわけじゃないけど、シーン全体を引っ張ってきたような気がしてるんですよ。今はもっといろいろなところからホットな新しい才能が出てきてるというか。
Bark:言われてみると、シーンの形がそれまでピラミッドだったのが、今は円になったのかもしれない。
Tiji Jojo:USでもそうかもしれない。前はNYにはエイサップ・ロッキーがいて、LAにはYGやケンドリック・ラマーがいて、アトランタにはフューチャーがいてとか、それぞれのキングがわかりやすくいて。もちろん今もいるけど、すごく細かくなっている気がする。日本と規模は違うと思うんですけど。
DJ CHARI:それは向こうのリスナーも感じているんじゃないかと思いますね。
Tiji Jojo:日本でもそもそものラッパーの人数が急増してるし、『RAPSTAR』(ABEMA)もあって、スターも生まれやすいじゃないですか。だから明確に一個の新しい時代がきてますよね。
――新世代のラッパーについてどう思っていますか?
Bark:びっくりするぐらい上手いっすよ。最初からステータスというか、基礎体力がしっかりあって。自分たちの始めた頃と全然違いますよね。
Tiji Jojo:しかも個性的だよね、みんな。
DJ TATSUKI:でも、それはBAD HOPのみんなだったりがそういう下地を作ってきたからだと思いますね。
DJ CHARI:だからすごく大きいですよね、彼らの存在感って。



















