Ado、Fujii Kaze、ヨルシカ、YOASOBI……“ラテンミュージック”との融合で広がるJ-POPの可能性
J-POP、遡れば歌謡曲の時代からラテンの要素を取り入れたポップナンバーは数多くリリースされてきた。サザンオールスターズ「勝手にシンドバッド」やザ・ピーナッツの「恋のバカンス」、ポルノグラフィティの「サウダージ」や修二と彰「青春アミーゴ」と枚挙に暇がない。現在ロングヒット中のJuice=Juice「盛れ!ミ・アモーレ」もラテンミュージックの要素を取り入れた情熱的なダンスナンバーになっている。
そんななか、Adoが新曲「モンストロ」をリリース。実写映画『ブルーロック』の主題歌として書き下ろされた同曲は、スパニッシュギターが鳴り響くイントロからアグレッシブなラテン調のリズムにAdoのシャウトやロングトーンが重なることで熱量を何倍にも増幅する1曲。「モンストロ」の作編曲は「踊」や「唱」を手掛けたGigaとTeddyLoidによるタッグだ。両者が再びタッグを組んで制作された「モンストロ」は「踊」のオリエンタルさ、「唱」のエキゾチックさの延長線上にある楽曲としても位置付けられるだろう。GigaとTeddyLoid、そしてAdoという組み合わせが生み出す異国情緒のあるサウンドが独特な熱を生み出しているのだ。
今年3月に開催され、日本、そして世界中を熱狂の渦に巻き込んだ『2026 ワールドベースボールクラシック』の史上初のサウンドトラックとしてリリースされた『2026 World Baseball Classic』に日本からFujii Kaze(藤井 風)が参加。現在のラテン界のトッププロデューサーであり、『グラミー賞』を2度受賞したプロデューサー タイニーとのコラボレーションソング「My Place」は、レゲエをルーツに持ちつつ、ヒップホップなどの現代的なアプローチで進化した“レゲトン”を基調とした1曲。バッド・バニーといった海外のトップスターたちもレゲトンを自身の音楽性の軸としている。そんな現代ラテンの最先端のサウンドを歌いこなすFujii Kazeはやはり、日本の現行音楽シーンでも類稀な才能を持つ存在だ。
今年4月にYouTubeでMVが公開されると、国内はもちろん、韓国や台湾、アメリカやカナダといった世界各国/地域でチャートインを果たすなどのヒットを生んだヨルシカの「あぶく」も、ラテンテイストを取り入れた楽曲のひとつだ。イントロから小気味よく鳴るギターリフの乾いた音色や手数の多いビートには、ラテンミュージックの要素を感じさせる。シリアスなピアノの響きも、まさしくラテンジャズのような趣だ。幅広い音楽性を志向しながらも、そのどれもヨルシカらしいソリッドさとオルタナティブさを併せ持つサウンドに昇華しており、コンポーザー n-bunaの手腕には舌を巻くばかりだ。
YOASOBIが2021年にリリースした「三原色」もラテン風のアレンジを取り入れたポップナンバーだ。イントロの軽やかなリフや散りばめられたパーカッション、そしてボーカルのikuraが当時初めて挑戦したラップなど、楽曲を通して情熱的なエネルギーが活き活きと脈動するように息づいている。疎遠になった友人たちが再会し、未来へと繋いでいく原作小説『RGB』(小御門優一郎)の物語を、ラテン特有の明るさが後押しするようなサウンドに仕上がっている。
今やJ-POPに欠かせないラテンサウンド。一口にラテンと言ってもさまざまなアプローチ、サウンドがあり、ラテンの多様さが現在の音楽シーンで活かされていることが分かる。国内だけでなく、グローバルなトレンドでもあるラテンは現在の日本の音楽シーンを紐解くうえでも重要なピースのひとつなのかもしれない。


























