Aqoursの中心にある“地元愛”の精神 結成5周年の輝きを3つのポイントから振り返る 

 最後のターニングポイントを紹介する前に、今回の5周年プロジェクトのタイトルにある「地元愛!」について触れておこう。「地元愛(じもあい)」とは、渡辺曜(CV:斉藤朱夏)と 津島善子(CV:小林愛香)によるデュエットソング「地元愛♡満タン☆サマーライフ」に登場する言葉で、同曲は彼女たちが地元自慢のサマーライフを元気ハツラツに歌った楽曲だ。そんなAqoursの地元・沼津市にて毎年恒例で開催される『沼津夏まつり・狩野川花火大会』こそ、最後に紹介したい事項である。

 今年は先般の事情より惜しくも中止となってしまったものの、これまでにキャストも深く関わってきた同花火大会。なかでも2017年の開催回は彼女たちにとっても印象深いものだろう。同年には、Aqoursのメンバーカラーの花火が夜空を彩っただけでなく、大会の最後を締めくくる場面では、アニメPVでも花火が印象的に映るTVアニメ第1期9話挿入歌「未熟DREAMER」が会場スピーカーから壮大に流れていた。沼津で生まれたAqoursの歌声が、特別な夏の夜を彩っていたのだ。

 Aqoursと沼津市の各施設とのコラボはこの花火大会に始まったことではないが、彼女たちの活動が、実際の街の光景やそこで暮らす人々の想いに影響を与えるまでに実を結んだ。そんな忘れられない夏の一夜は、ファンはもちろん、メンバーの胸にも深く刻まれ、その後の活動の自信にも繋がった大切なターニングポイントだと思いたい。

 前述したドームツアーのほか、5周年プロジェクトの一環として初のベストアルバムや、メンバーの誕生日にそれぞれのソロアルバムを発売することを発表したAqours。しかし、どれほど多くの成功を手にしても、彼女たちは生まれた街を大切にし、いつだって“結局地元”な精神に還ってくる。Aqoursのターニングポイントは、メンバーの努力やファンの温かさ、そして沼津の地があって初めて生まれるのだ。

◼︎一条皓太
出版社に勤務する週末フリーライター。ポテンシャルと経歴だけは東京でも選ばれしシティボーイ。声優さんの楽曲とヒップホップが好きです。Twitter:@kota_ichijo

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