MWAM、岡村靖幸……独創的な音楽性&豊かなリズムを内包したボーカル 新譜5作をピックアップ

マカロニえんぴつ『hope』(通常盤)

 バンドの知名度をグッと上げた「ブルーベリー・ナイツ」、私立恵比寿中学に提供した「愛のレンタル」のセルフカバー、〈ハロー、絶望〉というキャッチーなフレーズが印象的な「ヤングアダルト」などを収めた2ndフルアルバム『hope』。60年代のモータウンを想起させるポップチューン「レモンパイ」、クラシカルなストリングスとハードロック直系のギターが一つになった「hope」、楽曲の進行とともにどんどんBPMが上がっていく「この度の恥は掻き捨て」など、ジャンルの枠を気持ちよく飛び出す“なんでもあり”な様相は、はっとり(Vo/Gt)が敬愛するユニコーンの傑作アルバム『服部』にも通じている。広がり続ける音楽性をしっかり束ねる、はっとりのエモーショナルな歌声も素晴らしい。

マカロニえんぴつ「ブルーベリー・ナイツ」MV
カネコアヤノ『爛漫/星占いと朝』

 フォーキーかつサイケデリックな手触りのバンドサウンド、独特の揺れを感じさせるメロディ、そして、冬の終わり、東京の夜の風景と静かに赤く燃える心情を重ね合わせた歌詞が溶け合う「爛漫」。ソウルミュージック的なグルーヴのなかで心地よく飛び跳ねるボーカル、ケンカをしている“君”に思いを寄せるリリックが響く「星占いと朝」。何気ない日常のなかで生じる掛け替えのない感情、フォークとソウルを軸にしたルーツミュージックをたっぷり内包したサウンドなど、シンガーソングライターとしてのカネコアヤノの個性がゆったりと伝わってくる両A面シングル『爛漫/星占いと朝』。何にも遠慮せず、自らのエモーションを気持ちよく解放する歌いっぷりは、やはり魅力的だ。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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