にじさんじ、ホロライブ、KAMITSUBAKI STUDIO……音楽シーンに進出するVTuberの動向を追う
全体でひとつ、アイドルグループ的展開を見せる ホロライブ
VTuber事務所「ホロライブプロダクション」内には、女性グループ「ホロライブ」、音楽レーベル「イノナカミュージック」、男性グループ「ホロスターズ」が存在しており、特にホロライブとイノナカミュージックの音楽方面への進出が目立っている。
1月24日、豊洲PITにてホロライブ初の全体ライブ「hololive 1st fes.『ノンストップ・ストーリー』」が開催された。ライブではホロライブ全体曲「Shiny Smily Story」や、ホロライブ1期生(赤井はあと、アキ・ローゼンタール、白上フブキ、夏色まつり、夜空メル)歌唱による「夢見る空へ」などのオリジナル楽曲が披露されている。
ホロライブの音楽展開は、全体を通してアイドルグループのような方向性だ。全体ライブではホロライブ・イノナカミュージックのメンバー全員が出演し、統一感のあるアイドル衣装に身を包みパフォーマンスを行っている。ライブ内でも全員にソロで歌う機会が用意されつつ、オリジナル楽曲はユニット・全体で用意されるバランスは、その時々で選抜されたメンバーがライブで晴れ姿を見せるにじさんじとはまた違う魅力がある。
また、ビクターエンタテインメントよりメジャーデビューしており、3月4日にミニアルバム『My Loving』を発売したときのそらや、2018年11月デビューでありながら5月16日に5度目のワンマンライブを予定しているAZKiもアーティストとして注目していきたい。
花譜、カンザキイオリら属するレーベル<KAMITSUBAKI STUDIO>
2019年10月に発足したばかりのクリエイティブレーベル<KAMITSUBAKI STUDIO>は、VTuber業界の中でも異質な存在感を放っている。ハッシュタグが世界トレンド1位を獲得するなど大きく話題となった1stワンマンライブ『不可解』を開催したバーチャルシンガー・花譜や、花譜のオリジナル楽曲すべてを制作するカンザキイオリ、イラストレーター・PALOW、2人組音楽ユニット「DUSTCELL」など、VTuberに限定しないシンガーやクリエイターを多く擁するレーベルだ。
花譜以外のバーチャルシンガーも所属しており、バーチャルラップシンガー・春猿火、バーチャルダークシンガー・ヰ世界情緒、花譜の直接的な系譜とされるバーチャルシンガー・理芽のデビューがレーベル発足とともに発表。すでにオリジナル楽曲の発表を開始している。
発足して半年足らずということもあり、レーベルを挙げてのフェスといった全体での動きはまだ多くないものの、音楽から拡張した物語や作品を生み出すプロジェクトとして「NBM by KAMITSUBAKI」を発表するなど、<KAMITSUBAKI STUDIO>は実験的な試みを積極的に行っている。今後の動向を見逃さないようにしておきたい。
今回はグループ・レーベル単位でのVTuberの音楽展開にフォーカスしたが、キズナアイ、富士葵、MonsterZ MATE、かしこまり、えのぐ、GEMS COMPANY、星乃めあ、まりなす(仮)、YuNi、ヒメヒナ、KMNZ……等々、ソロ・ユニット単位でも挙げきれないほどのVTuberが音楽活動を盛んに行っている。2020年はこれまで以上にVTuberの音楽シーンでの活躍が期待される。
■佐藤ホームズ
バーチャルYouTuber・ライター・MoguLive編集部で編集者。
黎明期にバーチャルYouTuberが大好きになって以来、観測を続けている。
Twitter:@satouholmes