ゆず『YUZUTOWN』密度の高いアレンジから浮かび上がった、J-POPユニットとしての記名性

参考:2020年3月16日付週間アルバムランキング(2020年03月2日~2020年03月8日)

ゆず『YUZUTOWN』

 2020年3月16日付のオリコン週間アルバムランキングで1位を獲得したのはNEWS『STORY』で、推定売上枚数にして115,130枚(以下、枚数はすべて推定売上)。2位、3位と初登場が続き、ゆず『YUZUTOWN』(59,010枚)、宮本浩次『宮本、独歩。』(35,541枚)となっている。ほか、5位には“ゆずに瓜二つの雫型フォークデュオ”とされるMIZUの1stアルバム『MIZU』が初登場でランクイン(19,251枚)。このあたりが1万枚の壁で、以下は4桁枚だ。初登場だけピックアップすると、7位にめいちゃん『大迷惑』(9,421枚)、10位にMYTH & ROID『MUSEUM-THE BEST OF MYTH & ROID-』(4,976枚)となっている。King Gnu『CEREMONY』が6位と堅調にトップ10入りを維持し、さらにはOfficial髭男dismの『Traveler』もしぶとく8位につけている。初動だけではなくロングヒットを(しかも長期間のチャート推移が肝のサブスクではなくCDで)続けるあたり、もはや中堅~ベテランのヒットメーカーと肩を並べる存在感である。

 さて今回取り上げるのはゆず『YUZUTOWN』。前作から1年弱でリリースされた15枚目のオリジナルアルバムだ。eBoyによるピクセルアートをフィーチャーしたカバーアートが目を引く(オフィシャルウェブサイトもピクセルアート風のデザインに統一されている)。ぎゅうぎゅうに要素がつめ込まれた都市の風景はポップでキュートだけれども、渋谷や横浜など実在の街をモチーフにして組み上げられたというキメラ的な過剰さがある。それは元々のeBoyの作風によるところも大きいのだろうが、ゆずの楽曲から受ける印象とぴったりフィットしているように思える。

ゆず NEW ALBUM「YUZUTOWN」Teaser Film #1:PINKY TOWN

 アルバムに耳を傾けると、メロディとハモりに貫かれた言葉数の多い楽曲に、隅から隅まで趣向が凝らされたアレンジが施され、もはや1曲でお腹いっぱいという具合である。頭からお尻まで歌いっぱなしというか、とにかく歌が先導する。アレンジがこれだけ手数も多くバラエティに富んでいるのに、北川悠仁と岩沢厚治のボーカルの存在感が揺るがないのは驚かされる。路上ライブから頭角を現したフォークデュオが日本でも随一のJ-POPユニットになった所以は、このふたりのツインボーカルがあればどんな味付けをしようがゆずはゆず、という強みなのだと改めて感じる。それはつまり、その軸さえあればアレンジの許容範囲はいくらでも広げようがあるということだ。

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