大原ゆい子の儚さと心温まる歌声ーーワンマンライブ『今夜は夢を見る』レポート

大原ゆい子の儚さと心温まる歌声ーーワンマンライブ『今夜は夢を見る』レポート

『高木さん』の名シーンと共に感動が甦る

 『からかい上手の高木』さん楽曲を始めとして、胸がキュンとなる淡い恋心を歌った恋愛ソングで知られる大原だが、一人の女性として持つ、様々な視点から歌った恋愛ソングもある。

 1stアルバム収録曲の「205号室」では、未来を語り合うことの出来ない悲しい関係を題材に、孤独や喪失感をエモーショナルなボーカルで歌い上げた。感情豊かに響くピアノのサウンドをバックに、大原は胸の奥底からわき上がるような歌声を聴かせ、それは静かな水面を叩いて波立たせるような雰囲気で実に聴き応えがあった。張り詰めた緊張感が会場を包み込み、観客は息を飲むようにして大原のパフォーマンスを見守っていた。

 ライブという空間を観客と共に楽しんだのは、電柱をバット代わりにして普段の嫌なことをかっ飛ばしてしまおうというユーモアたっぷりの歌詞が実に痛快な「木星バット」や、おせんべいを題材にした歌詞とワチャワチャした雰囲気のサウンドが楽しい「セイセイせんべい!」、爽快ロックチューンの「ハイステッパー」など。

 「セイセイせんべい!」では、「みんなもパリパリ言えますか? おせんべいの気持ちになれますか?」と、観客を盛り上げた大原。それまで着席して静かに楽しんでいた観客だったが、この時ばかりは立ち上がって一緒に声を挙げて楽曲に参加。大原が「いち、に、さんハイ!」と客席にマイクを向けると、観客は一斉に「パリパリ」と大合唱。また「ハイステッパー」では、青いレスポールのエレキギターをかき鳴らしながらパワフルに歌い、観客も合いの手を叫んで会場が一つになった。

 人気のアニメテーマソングをアニメの映像と共に楽しむことが出来ることも、大原のライブの魅力の一つ。『リトルウィッチアカデミア』や『宝石の国』など、この日も数多くの楽曲をアニメのノンテロップ映像と共に歌って、アニメの世界観と共に楽しませてくれた。

 本編ラストに歌った「君と光」では、アニメ『からかい上手の高木さん2』の挿入歌として流れたアニメのシーンも、ビジョンに大きく映し出された。主人公の2人が最後に再会を果たして手を繋いだ同シーンと、それを彩った「君と光」は、放送直後からアニメファンの間で大きな話題となった。きっと集まった観客の胸には、儚さと温かさを込めた大原の歌声と共に、あの時の感動が甦ったことだろう。

「嫌なことがあった時は、今日のこの時間のことを思い出して欲しいです。これからもみんなの支えになれるような音楽を作っていきます。今日来てくださったみなさんが、良い夢が見られますように!」

 ライブのタイトルでもある『今夜は夢を見る』は、「君と光」の歌詞に出て来るフレーズ。こんなに穏やかで、でも少し甘酸っぱくて、心が温まる。そんな気持ちを与えて眠りに付かせてくれるのも、大原ゆい子の楽曲の魅力だ。

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<セットリスト>
1.時のミラージュ
2.透明な翼
3.星が眠るまで踊ろうよ
4.木星バット
5.煌めく浜辺
6.光の淵
7.205号室
8.イエスかノーか半分か
9.夢の途中で
10.からっぽになりたい
11.言わないけどね。
12.えがおのまほう
13.セイセイせんべい!
14.ハイステッパー
15.ゼロセンチメートル
16.ノスタルジア
17.君と光
ーアンコールー
18.Magic Parade
19.星を辿れば

大原ゆい子 オフィシャルサイト

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