ネクライトーキーの楽曲が多くのリスナーに愛される理由 音楽への愛情とバンドのプレイヤビリティが生む絶妙なバランス

ネクライトーキーの楽曲が多くのリスナーに愛される理由 音楽への愛情とバンドのプレイヤビリティが生む絶妙なバランス

 ネクライトーキーが1月29日に発売したメジャーデビューアルバム『ZOO!!』。その初回限定盤に収録されたライブ映像を一夜限りでシアター上映するということを聞き、発売前の夜、ユナイテッド・シネマ豊洲に足を運んできた。

 広々とした映画館のスクリーンと音響を使って上映されたのは、2019年9月23日、マイナビBLITZ赤坂で行われた『ネクライトーキーワンマンツアー2019“ゴーゴートーキーズ!全国編「〆」”』のライブ映像。ネクライトーキーの作品は、デビュー時から聴いてきたが、実はライブで観たことがなかったので、正直かなり驚いた。こんなにもプレイヤビリティが高く、タイトな演奏をするのか、と。

 中でも「許せ!服部」はそれが顕著で、ボーカルのもっさが「CD ver.」と「ライブ ver.」というパネルを持ち、彼女の提示したパネルに従ってメンバーは演奏スタイルを変えていった。CD ver.はOGRE YOU ASSHOLEのミニマルメロウを想像させるようなループが心地いいミドルテンポでの演奏、ライブver.は縦ノリで盛り上がれるような疾走感のあるプレイ。もっさのタイミングでパネルを交互に出すのだが、まったくブレることなく、タイプの違う2つのアレンジをソロパートまで含めて演奏して見せた。さらには、メンバー5人で向かい合い、「1、2、3、4、1、2、3、4」と、ZAZEN BOYSのライブセッションのような掛け合いまでして見せた。

 約1時間半に渡る上映会のあとには、ネクライトーキーのメインコンポーザーである朝日(Gt)と、映像チームのスタッフたちが登壇し、トークを行った。朝日とは高校時代からの同級生である監督の小名良平、同じく監督の森野泰至、カメラマンの松田真、プロデューサーの宮腰達也の5人で、これまでのMV撮影の裏側について、ゆるやかにトークが進行していった。

 ここで、今回リリースとなったメジャーデビューアルバム『ZOO!!』の話に繋がる。先行配信されていた楽曲「ぽんぽこ節」のMVは「鉄風 鋭くなって」に出てくる扇風機をたぬきにして撮りたい、という朝日の要望から生まれたという。

 ネクライトーキーというバンドのバックボーンには「朝日のセンスや音楽への愛情」があり、プレイヤビリティの高い5人のメンバーたちが2020年の時代感を取り込みつつポップミュージックを生み出している。それが彼らが多くのリスナーに愛される理由の1つといってもいいだろう。

 「ぽんぽこ節」に話を戻すと、この曲はファンク調のイントロで始まるが、1曲の中で展開が変わっていく、いわゆるプログレを感じようなところがある。朝日がいくつかのインタビューで語っているが、楽曲制作中に、Emerson, Lake&PalmerやYesといったプログレバンドの楽曲を聴いていたことで展開のアイデアが見えて完成に至ったという。そうした過去の楽曲からのリファレンスやアイデアというのが、ところどころから垣間見えるのがおもしろい。これまでも、わかりやすいところでいえば、『ONE!』に収録されている「タイフー!」はフジファブリックの「TAIFU」へのオマージュを感じるし、『MEMORIES』収録の「夕暮れ先生」は相対性理論の「地獄先生」の要素を感じたりする部分があった。

ネクライトーキーMV「ぽんぽこ節」

 そうした音楽史へのリスペクトと参照に加えて、朝日がボカロP・石風呂としても活動してきたことが、このバンドをユニークにしている要因でもある。ボーカロイドに歌わせるというお題目がある中で、楽曲の青写真を描き論理的に楽曲を構成していくプロセスを経たことで、ある意味感覚的でインスピレーションやセッションで楽曲が生み出されるバンドマジックと折衷していき、独自性を生み出しているともいえる。ミックスやマスタリングといったエンジニアリングについての知識があることもサウンドを豊かにしている。「北上のススメ」でクラップ音が鳴る場面があるが、イヤホンをして聴いていても、外部から音が聴こえてきたように感じビックリしてしまった。そういう細部へのこだわりも、とてもおもしろい。

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