シーナ&ロケッツの音楽に宿る強さの秘密ーー鮎川誠がシーナとの“記録”と“記憶”を残した『LIVE FOR TODAY!』を聴いて

シナロケ『LIVE FOR TODAY!』を聴いて

 今年活動42周年を迎えるシーナ&ロケッツ(以下、シナロケ)。以前、鮎川誠にインタビュー(参照:Yahoo!ニュース)した際、「今も一緒にライヴをやっている」と、亡き妻でありシナロケのボーカルだったシーナへの永遠の愛を語り、シーナと共に今も精力的にステージに立っていると教えてくれた。悲しみの訃報から5年。シーナの命日が訪れる2020年2月14日に、シナロケの新作が届けられる。それが初のライフタイムカバーアルバム『LIVE FOR TODAY!(リヴ・フォー・トゥデイ)』だ。

 このアルバムはまさに“記録”であり“記憶”に残したい一枚だ。というのも、アルバムの7曲目に収録されている「レモンティー」は、鮎川がシナロケ結成前に所属していたロックバンド・サンハウスのカバーで、シナロケのライブでの定番曲、アルバムにも収録されてきたおなじみの1曲だが、2014年4月10日に歌ったこのテイクが、シーナの生涯最後のスタジオレコーディングになったからだ。しかもその日はシーナと鮎川の、38回目の結婚記念日であり、鮎川にとっても生涯忘れられない1曲になった。「1曲目の『Loudmouth』から6曲目の『You Ain’t Nothin‘ But Fine』まで録り終えて、最後にシーナが今日もこれをやろうと言って録ったのが『レモンティー』で、その時はまさかこれが最後になるとは思ってもみなかった…」(鮎川/『LIVE FOR TODAY!』特設サイト)、そんな大切な記録と記憶を『LIVE FOR TODAY!』、<今日を生きよう>という作品にした。

 この作品は、2014年のアルバム『ROKKET RIDE』のレコーディングの空き時間に「スケッチ的にその時に色々やってみた」(鮎川)という、シナロケの血となり肉となっているルーツミュージックを辿る旅の記録だ。当時ライブで演奏していた新しいレパートリーなどを含めスタジオ録音した7曲を中心に、シナロケが各年代で影響を受けた楽曲のカバー音源を、レコーディング時のアウトテイクやセッション、デモ音源、そしてすでに廃盤となっているレア楽曲の中から鮎川が選曲し、カバー曲だけ18曲で構成し、仕上げた。

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