日向坂46「ソンナコトナイヨ」とAKB48楽曲の類似性 “歌謡”を押し出した作風を考察
一方で、この原稿の執筆時点で公開されている『ソンナコトナイヨ』のカップリング曲たちは、表題曲とかなり雰囲気が異なります。日向坂46のメンバー全員が出演するドラマ『DASADA』(日本テレビ系)の主題歌でもある「青春の馬」は、サビにおけるドラムのリズムパターンが昂揚感をもたらします。「窓を開けなくても」は、ビートやファンキーなギター、なによりメロディの開放感が「ソンナコトナイヨ」と大きく異なります。MVが3曲公開されただけの段階で、かなり多彩です。
振り返れば、日向坂46のデビュー曲である「キュン」もメロディはかなり歌謡曲的です。ところが2ndシングル曲「ドレミソラシド」では、爽快さを感じさせるメロディと強いビートを押しだし、3rdシングル曲「こんなに好きになっちゃっていいの?」ではせつないラブソングへ。今回の「ソンナコトナイヨ」へのさまざまな声も、日向坂46が作品ごとに変化を続けているからだと言えるでしょう。これだけ多くの音楽性を打ち出す日向坂46ですが、実は2019年3月27日の『キュン』のリリースから、まだ1年も経っていないのです。
■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter